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日本代表、ベルギー戦に生かしたい3つの教訓。ポーランド戦の失点が教えてくれること【ロシアW杯】

7/1(日) 11:50配信

フットボールチャンネル

 日本代表は2日、ロシアワールドカップ・決勝トーナメント1回戦でベルギー代表と対戦する。今大会屈指の戦力を有する強豪国だけに、守備の課題について自らを分析することは不可欠。グループリーグで黒星を喫したポーランド戦のシーンから課題を探る。(取材・文:河治良幸【ロシア】)

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●ベルギー戦に向けて共有しておくべき守備の課題

 日本代表はポーランドに0-1と敗れたものの他会場でセネガルがコロンビアに同じく0-1で敗れたため、勝ち点、得失点差で並び、今大会から採用されたフェアプレーポイントの差で決勝トーナメント進出を果たした。決勝トーナメント1回戦ではFIFAランキング3位のベルギーと対戦する。

 ポーランド戦で6人の先発メンバーを代え、4-4-2で臨んだことについて西野監督は「出てない選手を起用したいという思いは一切ないです。総合的な判断ですし、勝ち上がることを自分の中で前提と考えていました」と語るが、過密日程、さらに30度を超える暑さの中でフレッシュなメンバーで戦ったことはリスクのある選択でありながら、結果としてベルギー戦に向けては確かなメリットになりそうだ。

 順当ならベルギー戦には香川真司や原口元気、ポーランド戦で途中出場だった大迫勇也、乾貴士、長谷部誠らもスタメンに復帰すると見られる。そうなるとポーランド戦では4-2-3-1に戻り、戦術的なメカニズムもポーランド戦とは変わってくるはず。ただし、この試合で起きた失点シーン、さらに失点の危機にあったシーンを振り返ると日本のディフェンスに起こりがちな現象であり、ベルギー戦に向けてチームで共有しておくべき課題と見られる。

 時間稼ぎに徹した終盤を除き、試合の流れや疲労度による影響も大なり小なりあるが、そうした状況も踏まえながら3つのシーンを分析的に振り返りたい。

●【前半32分】川島の右手一本でのセーブにいたるシーン

 日本から見て右サイドのルーズボールの奪い合いでボールを拾ったグロシツキがインサイドのクリホビアクにボールを出すと、柴崎がプレスにくるタイミングで右斜め前のクルザワに角度のあるパスを通す。クルザワがスピードを落とすことなく持ち上がると、同時的にレバンドフスキ、ジエリンスキ、グロシツキがフリーラン。さらに右の大外を右サイドバックのベレシンスキが駆け上がる。

 ボールホルダーのクルザワを含む5人の攻め上がりに対して日本は4バックだけで迎え撃つ状況に。クルザワをプレスバックで追いかけた宇佐美がスライディングに行くが、クルザワは転倒しながらも右のベレシンスキに出し、そこに長友が対応したためゴール前は完全な3対3となっていた。こうなるとポーランドはボールと人の動きが合えば決定的なシュートに持っていける。

 日本は3対3といってもゾーン気味にポジションを取ってボールをクリアしようと準備するが、ポーランドはその逆手を取るようにファーで酒井宏樹の手前にいたグロシツキがジエリンスキとクロスするようにインを取って、戻りながらのヘッドでゴール左を襲った。川島はニアのレバンドフスキを警戒するようなポジショニングから瞬時に修正して逆サイドに体を伸ばしたため何とかセーブできたが、非常に危険なシーンだった。

 こうしたシーンはハリルホジッチ監督の時は見られなかった形の問題だ。ボールサイドにボランチの2人が寄った上に、さらに中央に出されたボールに対してステップバックせずアプローチに行ったため裏でボールを受けられ、同数で守る状況にされてしまった。さらにペナルティエリアに吸収された状態でも槙野、吉田、酒井宏樹の3人ともボールに目が行ったことで、巻き気味にくるボールに合わせたグロシツキに付いて行けず、フリーで合わされてしまった。

 ボランチ2人が同サイドに寄せてプレッシャーをかけること自体が悪いわけではないが、そこから外されて広いところに展開された状況での判断がさらに求められる。最終ラインの対応も数的優位でバランスが取れている時はラインを取ってボールを跳ね返す準備でいいが、完全に相手のタイミングで合わせられる状況ではいかにフリーで触らせないかを意識したい。

●【後半14分 FKから失点したシーン】

 ゴールから30メートル、やや左寄りの位置でポーランドがFKを獲得。キッカーは左利きのクルザワと右利きのジエリンスキがボールの手前に立ち、ゴール前には185cmのレバンドフスキに加えて190cmのグリク 、189cmのベドナレク、180cmのグロシツキがターゲットマンとなり、少し手前に186cmクリホビアクが構えた。さらに手前のところにゴラルスキがたち、直接ゴール方向に蹴らず流してくれば、そこからミドルシュートなどを狙える位置だった。

 日本のディフェンスはキッカーの壁に宇佐美と長友が立ち、ゴール前はオフサイドも意識したラインで山口、吉田、槙野、酒井高徳、大迫、柴崎、酒井宏樹の7人が並び、ニアのストーンに武藤が立つ形で、全員が参加していた。クルザワが左足で蹴るボールに対しニアに走るグリク を山口が、中央で合わせにくるレバンドフスキを吉田と槙野で挟む形を取った。ファーのグロシツキに対しては柴崎がニアからファーに回る巧妙な動きで空中戦に参加できないように抑えた。

 ベドナレクに対しては酒井高徳、酒井宏樹、大迫のところでチェックできたはずだが、酒井宏樹がバランスを崩すような形で距離をあけてしまい、酒井高徳と大迫もタイトにつききれないまま背後で右足を合わせられてしまった。実際さらに外側から飛び込むクリホビアクもチェックしていない状況だったが、ボールが来るところでのせめぎ合いで相手に有利な態勢を作られると脆さを出してしまうところがある。

●【後半29分 レバンドフスキに惜しいシュートを打たれる】

 高い位置でボールをうばわれたところからのカウンター。クリホビアクからパスを受けたジエリンスキが右サイドのスペースに展開。グロシツキがボールに追いつくと、ペナルティエリアの右端から速いクロスを出し、そこにレバンドフスキが走り込んで右足でボールを捉えたが、シュートはクロスバーを越えた。

 全体的に間延びした状況で、それでも攻めなければいけなかった状況での危ないシーンだが、そうした中でボランチの対応が重なってしまい、それにより空いたジエリンスキの前を吉田が埋めてチェックに行こうとしたことで、レバンドフスキに対してギャップができてしまった。その状況で長友が前に出ていた裏をセンターの槙野が後手に回りながらカバーに行こうとするが、その裏にクロスを通された。

 こうした攻守の切り替わりで相手アタッカーに一気に爆発力を出されると、連係で守りきることは難しくなる。ベルギーは特にこうした攻守の切り替わりの瞬間的なギャップを狙ってくるため、高い位置で攻めている時のボランチとセンターバックのバランスを意識し続けていることが重要になる。

(取材・文:河治良幸【ロシア】)

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