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21歳弟を姉が殺す悲劇生んだ異様な家族事情

7/1(日) 6:00配信

東洋経済オンライン

「家族」だからといって、すべての人が仲良く、手を取り合って暮らせるわけではありません。中には親子や兄弟同士で激しく憎しみ合い、争いの末、裁判や事件にまで発展してしまう家族もいます。
本記事では、裁判の傍聴を通じて、「現代の家族が抱える問題」に焦点を当てます。執筆するのは、傍聴ライターとして10年以上法廷に足を運び続ける高橋ユキさんです。
 2016年9月12日、千葉県酒々井町(しすいまち)の一軒家に住む竹内諒さん(当時21歳)が遺体で発見された。諒さんと連絡が取れなくなっていたことを不審に思った友人たちが家を訪れ、110番通報。警察官が室内から、バラバラに切断された彼の遺体を見つけた。翌日、死体損壊と死体遺棄の疑いで逮捕されたのは、この家で諒さんと2人で住んでいた、姉の竹内愛美(えみ)さんだった。

 公判は2年後の2018年2月に千葉地裁で開かれた。愛美被告は死体損壊と死体遺棄に加え、諒さんを刃物で殺害したという殺人罪と、諒さんが亡くなった後に彼のクレジットカードを使いフリマアプリで洋服を購入したという電子計算機使用詐欺罪でも逮捕起訴されていた。

 逮捕当時、諒さんが生前更新していたSNSが注目され、「2人暮らしだけど冷蔵庫も掃除機もオーブンもベットも2つあります」「これだから姉は嫌なんだ」といった書き込みから、姉弟の仲は必ずしも円満とはいえないことが推察されていた。とはいえ仲の悪い姉弟など珍しくはない。だが、冒頭陳述や証拠から浮かび上がってきたのは、この姉弟の厳しい生育歴だった。

■調書で明らかになった異様な家族関係

 愛美被告は1991年4月に、両親の間に長女として生まれた。下には次女、そして諒さん、三女がいる。後に6人で、酒々井町の家に住み始めたが、2008年ごろに父親が精神疾患により休職し、自宅で療養生活を送るようになった。自殺未遂を図り救急車で搬送されたこともあったという。2011年には両親が離婚し、母親が出て行く。その2年後、三女も家を出て母親のもとへ。4人で暮らしていたが、2014年に父親が死亡し、次女も出て行った。以降事件まで、この家に愛美被告と諒さんとで暮らす。

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