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16強敗退は終わりであり始まり。ロシアで築いた日本サッカー新時代への財産【ロシアW杯】

7/4(水) 11:31配信

フットボールチャンネル

 日本代表のロシアワールドカップが終わった。同時にこれまで長きにわたってサムライブルーを支えてきた何人もの選手がチームを去ることになる。ロシアの地で得た経験や課題を、どのように日本サッカーの未来へつなげていくべきなのだろうか。(取材・文:元川悦子【カザン】)

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●長谷部が代表引退。一時代の終わり

 原口元気と乾貴士のゴールで2点をリードしながら、ヤン・フェルトンゲンとマルアン・フェライニ、ナセル・シャドリに3点を食らい、まさかの逆転負けを喫したロシアワールドカップの決勝トーナメント1回戦・ベルギー戦。

 一夜明けた3日、日本代表はベースキャンプ地・カザンに戻り、最後のメディア対応に臨んだ。

 すでに前夜、4年後のカタールワールドカップを目指さないことを表明し、代表引退も示唆した本田圭佑は「今日はもう話すことはないから、しばらく経ってから」と取材に応じなかったが、感謝の意を伝えたメディアに対して「僕の方も感謝しています」と清々しい一言を口にした。

 その本田に続いて代表引退を正式発表した長谷部誠も報道陣の前に姿を現し、「自分の中では大会前から決まっていた。今は本当にやり切ったという感覚がある」と晴れやかな表情をのぞかせた。

 その長谷部の代表引退の報を聞いて、次期キャプテン候補最右翼の吉田麻也は大勢のメディアの前で人目をはばからず涙を流した。「彼の姿勢から学ぶことが沢山あった。この大会が終われば、長谷部さんだけじゃなくて、長くやってきた選手たちとやれなくなるという覚悟はあった。本当に寂しいですね。どうあがいても僕は長谷部誠にはなれないので、僕は自分のスタイルで代表チームを引っ張っていかなければいけない」と次なる4年に向けて、新たな決意を口にした。

 吉田が語ったように、ロシアワールドカップで日本代表の1つの時代が終わったのは事実だ。長谷部と本田という2大看板が去り、香川真司も4年後を目指すかどうか考えあぐねている状況だけに、2010年の南アフリカ大会、2014年のブラジル大会を経験してきた面々に頼らないチーム作りを進めなければならない。

 今大会を通してワールドカップ初参戦だった乾が奮闘し、原口、柴崎岳、昌子源も今後の軸を担えるだけの存在感を示したが、乾はすでに30歳。原口も27歳、柴崎も26歳、昌子も25歳と決して若くない。今回は20代前半の若手が1人も試合に出られなかっただけに、今後の若返りは楽観を許さない。

 日本代表の次期監督は7月中に決定すると見られる。今回の成績を踏まえて西野監督の続投が有力視されているが、ロシアの短期決戦で名采配を見せたベテラン指揮官と言えども、先々のマネジメントには苦労するだろう。

●「次は8年後を待たずベスト8へ」

 今回の最終登録メンバーに入れなかった23歳の浅野拓磨、21歳の井手口陽介らに加え、1997年生まれ以降の東京五輪世代の引き上げも図らなければ、せっかく生まれた前向きなムードもすぐに消えてしまいかねない。日本サッカー界はロシアワールドカップのベスト16入りで喜んではいられないのだ。

「2002年、2010年に続いて、日本は8年周期でベスト16を戦ったが、次は8年後を待たなくていい状態でベスト8に行けるのではないか。そういう3度目のチャレンジができたと思っている。今回で8年周期が変わるのではないかとも感じます」

 西野監督は4年周期で毎回のように決勝トーナメントに進める布石を打ったつもりのようだが、欧州トップクラブで戦い抜いてきた長谷部、本田らがいなくなるマイナス影響は少なくない。現在の若手は彼らが20代前半だった頃に比べると世界を駆け上がっていく勢いがやや足りない。ここから一気に急成長していく人間が何人も出てくれば問題ないが、果たして近未来の日本代表はどうなるのか。そこを関係者が一丸となって考えていくべきだろう。

「本当のワールドカップはトップの世界。スタンダードは(ベルギーが本気モードになった)30分間だと思う。あの30分間でベルギーは我々に対してむき出しになってかかってきた。そういう中でどう対等に戦えるかが大事。今回は戦いきれなかったが、それを体感したことが財産になる」とも西野監督はコメントしたが、そういうトップの本気を4年に一度、ワールドカップで感じているだけでは日本は世界に追いつけない。

 代表レベルだけでなく、選手個々が日常的にUEFAチャンピオンズリーグなどで場数を踏み、独特の緊張感や重圧に慣れないといけない。イングランド・プレミアリーグで充実した時間を過ごしてきた吉田が劇的な進化を遂げた通り、やはり重要なのは日々のプレー環境だ。だからこそ、海外に出ていく若手がもっと増えなければいけないし、Jリーグのレベルも引き上げなければいけない。

 ロシアでの4試合で直面した数々の課題にどう向き合っていくか。それが日本サッカーの今後に大きく影響する。新時代に突入する日本代表がこれまで以上の右肩上がりの軌跡を描けるように、長谷部や本田らが残した財産を若い選手たちがしっかりと受け継ぎ、強い自覚を持って戦っていくこと。まずはそういうところから新たな一歩を踏み出してほしい。

(取材・文:元川悦子【カザン】)

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