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ベルギー戦。8年間に及ぶ戦いが終わり、新たな未来が託された

7/5(木) 21:09配信

footballista

文 みぎ


 ベルギーに地力の差を見せつけられる形で、日本代表のロシアW杯はベスト16で幕を下ろした。

 大会2カ月前の、ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の解任劇と、西野朗新監督の就任。準備期間の短さから苦戦を予想する向きもあったが、選手たちは培った力を余すことなくピッチに注ぎ込んだ。個々の能力、戦術スペックの高さを見せつけると同時に、チームとして勝ち抜く術にまだまだ改善の余地があることも思い知った。

 難敵ベルギーに立ち向かい、散った日本代表のこの試合をどう総括するべきだろうか。

 この試合には日本、ベルギーともベストメンバーをそろえてきた。格上であるベルギーと対峙するうえで懸念される材料はいくつかあった。一つは、日本の基本陣形。今大会で採用している[4-2-3-1]に対し、ベルギーの[3-4-2-1]の噛み合わせは芳しくないこと。これまで戦ってきた3試合では、この形を取る相手と対峙したことはなかった。

 例えばシャドーを担うエデン・アザール、ドリース・メルテンスへの対応をどうするか。ベルギーのビルドアップ時でいえば、ケビン・デ・ブルイネへの監視役を誰が担うか。加えて、柴崎岳や長谷部誠を最終ラインに落として3枚でビルドアップする日本のボール保持時に、ベルギーが前線の3枚を同数で当ててきた場合どう対抗するかも気がかりだった。

■ベルギーが仕掛けた罠

 日本は、グループステージ3試合よりも高い位置からプレスを開始した。ベルギーのビルドアップ能力に加え、前線にタレントをそろえる陣容を鑑み、この戦い方がベストだと判断したのだろう。日本の選手の特性を踏まえても、ミドルゾーンの高い位置から積極的にボールを奪いに行く方が、自分たちの土俵で戦えると考えたのではないか。

 ただしベルギーもそれを想定していたのか、変則的なビルドアップで日本のプレスに対抗した。

 3バックのうち、ヤン・フェルトンゲンを左サイド寄りに配置。中央にバンサン・コンパニとトビー・アルデルワイレルト、リンク役にデ・ブルイネ。右サイドにはあえてスペースを空け、アクセル・ウィツェルが状況に応じて降りてくる。日本はフェルトンゲンに原口元気を、コンパニとアンデルワイレルトには大迫勇也と香川真司を、デ・ブルイネには柴崎岳を当ててビルドアップを阻害しようとしたのだが、問題は右のスペースに降りるウィツェルを乾貴士がどのタイミングでつかまえるかだった。

 ピッチのどこに数的優位のゾーンができているかを考えてみる。日本はルカクに対し、吉田麻也と昌子源の2枚で監視し数的優位を確保したが、それは他のゾーンでベルギーに数的優位が存在することを意味する。それはベルギーの右サイド、ムニエとウィツェルに対しマッチアップする乾のゾーンだった。

 日本とすれば、当然ウィツェルにはフリーでボールを持たせたくない。対面に位置するムニエか、目の前で浮遊するウィツェルか。ウィツェルは、乾がこの二択を迫られる状況を作り出した上で最終ラインに下りてボールを受けようとした。フリーで持たせたくない乾が釣られたタイミングで、その背後でメルテンスをケアする長友佑都に対してノーマークのムニエが加勢し、数的優位の局面を作り出すのがベルギーの狙いだった。

 キーマンであるデ・ブルイネにマークがつくことを想定し、相棒のウィツェルがカギを握ったこのビルドアップ。日本とすれば昌子をルカクの監視役から外し、一枚ずつスライドしてそれぞれに人を当てる対抗策もあっただろう。だが、それはリスクのある選択だと言わざるを得ない。結果的に、日本の左サイドはこの仕掛けに苦労することとなった。

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最終更新:7/5(木) 21:09
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