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ゲームモデルから逆算されたトレーニングは日本に定着するか?

7/6(金) 19:27配信

footballista

『モダンサッカーの教科書』から学ぶ最新戦術トレンド 第2回

書籍『モダンサッカーの教科書』は、ヨーロッパのトップレベルにおいて現在進行形で進んでいる「戦術パラダイムシフト」を、その当事者として「生きて」いるバルディとの対話を通して、様々な角度から掘り下げていく一冊だ。

この連載では、本書の中から4つのテーマをピックアップしてモダンサッカーの本質に迫る。第2回は育成年代の指導者でもある、らいかーると氏に「ゲームモデルから逆算されたトレーニング」について解説してもらった。


文 らいかーると

■まえがき

 プロのチームがどれだけ綿密に計画されたゲームモデル、プレー原則、相手への対策をしているかを、グラスルーツの指導者が知るすべはない。しかし、本書にはインテルの対策という形も含めて、プロのチームのトレーニングの詳細が載っている。これはかなり画期的なことだと言っていいだろう。ここまで外に出してしまっていいのだろうかと心配になるレベルだ。プロのスタンダードを知られるという意味でも必修にすべき内容だと思う。プロがこれだけ細かいのならば、グラスルーツの指導者である自分たちもどれくらいの細かさでやるべきかという基準ができることは非常に大きなことだ。

 その中でも最も心に響いた部分が以下の部分になる。

 「戦術的な負荷のベースになるのは、チームに対してインプットする情報量です。しかし、それだけではなく、セッションの長さ、つまり、集中力を維持すべき時間の長さや、直面する状況の複雑さ、判断すべき要素の多さといった要素も関わってきます」

 心に響いた理由は、情報量の調整が戦術的な負荷のベースになるという点だ。トレーニングのメニューの作成において、情報量を整理することが日本で一般的になっているとは思えない。このトレーニングメニューでは、ボール保持者の選択肢はいくつあって、見るべきものはいくつあるのか? そして、それを認知し、自分たちのゲームモデル、プレー原則に基づいてプレーすると、どのような現象が起きるのか? これらを整理してトレーニングをすることは当たり前だよな? と本書から警告を受けている気がした。

 よって、これからは改めて襟を正して行かなければいけない。まずはチームのゲームモデルを決めよう。そして、ゲームモデルを実行するためのプレー原則を整理する。トレーニングは試合で起こりうる戦術的状況を再現し、その状況において最善の選択肢を実行できるような内容にしていこう。さらに、認知と判断に必要な変数を調整することで、戦術的負荷に注意を払いながらトレーニングを見守っていこう。こうした日常のトレーニングの質を高めることが日常の基準を高めることに繋がっていくと信じて取り組んでいけば、この世界の片隅からでも、少しは日本のサッカーに役立てるのかもしれない。そんなことを考えさせるバルディからの提言であった。以下、本書でも取り上げられている「ゲームモデルから逆算されたトレーニング」というテーマで、私の思うところを書いていきたい。

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最終更新:7/6(金) 19:27
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