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オカダ戦は、まるで『七人の侍』!鈴木みのるが白い衣装に込めた思い。

7/6(金) 10:31配信

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 まさに雨中の決闘だった。

 6月23、24日の2日間にわたって横浜赤レンガ倉庫前イベント広場で行われた、鈴木みのるデビュー30周年野外フェスティバル『大海賊祭』。

 プロレスの試合をはじめ、鈴木みのると親交の深いミュージシャンのライブステージ、お笑いライブ、トークショー、さまざまな一流スポーツ選手によるワークショップなど、盛りだくさんなプログラムを、すべて無料で公開する前代未聞のこのイベント。

 初日の超目玉は、鈴木みのるの30周年記念試合として組まれたオカダ・カズチカとの一騎打ちだった。

 これは、新日本プロレスのビッグマッチでメインイベントとしても組める最高峰の試合を、プロレスを初めて観る人や、子供たちにも観てもらいたい。そんな強い思いから、鈴木自らが交渉し実現にこぎつけた、こだわりのプレミアムカードだ。

 しかし『大海賊祭』初日の6月23日は、午前中から雨模様。午後からは本降りとなり、鈴木vs.オカダが始まる前には大粒の雨が容赦なく降り注いだ。

 試合をするには最悪のコンディション。ところがこの雨が、結果的に最高の演出となった。

ずぶ濡れになりながら30分フルタイムの戦い。

 土砂降りの中、雨ですべるリングで必死に闘う鈴木とオカダの姿は、まるで映画『七人の侍』の決闘シーンのよう。それを見守る観客も皆、ずぶ濡れになりながらの観戦。これがリング上のレスラーと観客たちとのある種の共通体験となり、これまでにない一体感が生まれたのだ。

 試合は30分フルタイムを闘い抜いての時間切れ引き分け。雨に打たれながら、五感でこの30分間を“体験”した観客にとって、生涯忘れられない試合となっただろう。

 それはおそらく、リング上で闘った鈴木とオカダも同じはずだ。

 このオカダ戦で、鈴木みのるは白のショートタイツと白のリングシューズ姿で登場した。“白”は、鈴木が「ここぞ」という時だけ着用する特別なコスチュームだ。

キックボクサーに心を折られた因縁の白。

 この白コスチュームの歴史は古い。

 最初に着用したのは'89年11月29日、第2次UWF東京ドーム大会でのキックボクシング、WKA世界ヘビー級王者モーリス・スミスとの異種格闘技戦。じつは、この時の“白”にはまだ、特別な意味合いは何もなかった。

 当時、鈴木は月に1度のペースで行われていたUWFの試合において、ほぼ毎回コスチュームを変えていた。ブルーや蛍光イエロー、さらにはピンク(! )など、いまでは信じられないような派手なショートタイツも着用していたのだ。白もそんな中のひとつでしかなかった。

 それが、このモーリス戦によって特別な意味合いを持つようになる。

 鈴木は初の異種格闘技戦で、最強のキックボクサーの打撃の前になすすべなくボコボコにされて、TKO負けを喫してしまう。最後のダウンは、鈴木自身が「モーリスの打撃が怖くて自分から倒れた」と明かすなど、心まで折られた惨敗だった。

 そんな鈴木の姿は、プロレス雑誌に白のコスチュームになぞらえて「死装束」と書かれた。この屈辱から鈴木は、「もう二度と死装束なんて書かせない」と誓い、惨敗して縁起が悪いはずの白コスチュームを、あえて大事な一戦で着用するようになったのだ。

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最終更新:7/6(金) 10:31
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