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目に見えぬ変化こそ、進化の証し!大瀬良大地、2018年版の心技体。

7/7(土) 8:01配信

Number Web

 “駆け抜けろ 大地~ 赤い声援 力に変えて 今 不屈の闘志胸に~♪”

 マツダスタジアムに響き渡る登場曲を背に、マウンドに上がる大瀬良大地の姿はどこか自信を得たように映る。ただ、そこから今季の進化のすべては見えてこない。

 ただ、12球団最速10勝をマークした快進撃は、偶然でも幸運でもない。自らの力と意思でつかみ取った数字だ。

 技術的には大きな変化があった。今季からルール変更によって可能となった二段モーションで、左手を高く上げる投球フォームに大改造。それが奏功した。

 大瀬良の野球人生で、二段モーションで投げていた時期はない。意識づけから生まれた偶然の産物のようなものだった。ここ数年、上体が突っ込む悪癖が調子を落とす原因となっていた。それを正すため右足一本でステップしながら遠投をしていたところ、今の投球フォームにたどり着いた。

「マウンドであたふたしなくなった」

 フォーム改造も重なり、悪癖を改善できただけでなく、直球の威力が増した。

 他球団の選手、スコアラーが口をそろえる。

 「今年の大瀬良は違う」「新人のときの球威が戻った」と。

 変化は技術面ばかりではない。本人は「マウンドであたふたしなくなった」と自己分析する。

 昨季から捕手だけに頼らず、配球を考え、ノートに書き記してきた成果もある。ただ、それ以上に精神的な成長が、今季の躍進を支えている。

 シーズン序盤はまだ、精神面の弱さが垣間見えた。登板3試合目まで11四球を記録した。そのうち4つが下位打線に与えたものだった。「抑えて当たり前」という状況が力みとなり、ストライクゾーンを二分割してもストライクを取ることができなくなっていた。

心配性が、満足しない向上心に。

 責任感、使命感の強さがときにマイナスに働くことがある。6月1日ロッテ戦もそうだった。3点リード4回、1死一塁から遊撃正面のゴロを田中がトンネル。併殺でチェンジのはずが、1アウトのまま一、二塁と局面は変わった。

 味方を思うあまり「抑えなければ」という気持ちが強くなり、気持ちが先走り投球が単調になった。6番から9番まで4連続適時打を浴び、あっという間に試合をひっくり返された。

 精神面はまだ成長途中にある。先発の一角から大黒柱となり、今後は「エース」まで上り詰めることが期待される。

 まだまだ27歳には伸びしろがある。順調に勝ち星を積み重ねているように見える今季も、心技体ともに課題を見つけ、自分と向き合いながら一歩一歩、成長の階段を上がっている。心配性という性格が、現状に満足しない向上心に変わっている。

 下位打線への対応は試行錯誤しながら「ストライクを取れるフォームを見つけた」ことで改善され、無駄な四球が減った。

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最終更新:7/8(日) 9:31
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