ここから本文です

「職業としてのプロ棋士」と就活 好きでなければムリ、好きなだけでは続かない

7/9(月) 15:03配信

日経BizGate

 今年の「就活」も最終局面で、学生の内定率は7割を超えたという。一方でなかなか内定がもらえず苦労している学生もいれば、多数の内定をもらっていながら、さらに就活を続けるケースもあるそうだ。採用側の「AI面接」もあるという。 将棋界で生き残るには自分の棋風と時代の流行との「マッチング」が最も重要だが、就活ほどマッチングが大切な人生の岐路もないかもしれない。私の場合は大学4年生、22歳のときに棋士という職業に「就職」したことになる。(将棋棋士6段・片上大輔)

※連載の過去記事は、画面下の【関連記事】からご覧ください

■目標から逆算して明日のノルマを作成

  東大文1に進学したのはその4年前の2000年春で3段のときだ。今は大卒の棋士や大学在学中の奨励会員も多いが、棋士になれないときの保険のような意味もあり、私のようにプロ4段目前で受験勉強に取り組んだケースは少ない。たとえば早大政経OBの中村太地王座は早稲田実業学校からの内部進学だ。しかも高校在学中にプロ入りしていた。

 受験先に東大を選んだのは、地元の広島を出るきっかけがほしかったことがあった。当時はネット環境もなく、強くなるためにはプロの将棋をリアルタイムで勉強できる東京に出るべきだと考えていた。また通っていた修道中学・高校は進学校で、大学を受験しない同期はいなかった。

 東大は文系でも、数学の配点が高く自分にとって好都合だった。将棋の強い子どもには算数が得意な子が多い。自分もそうで、英語や国語の能力が高く要求される私大文系の方が、東大よりもずっと難しそうだった。暗記よりも思考力や文章力を問われる試験のほうが得意で、東大の出題傾向にマッチしていた。

 こうした自己分析を受験の1年前から行って、ゴールから逆算して考えることができたのも、将棋での思考方法が役立っていたと思う。 将棋はまず「こうなれば自分の勝ち」という場面を想定し、その局面へ誘導していくための読みを重ねる。受験にあてはめると、合格に必要な要素の抽出→受験日当日までのスケジュール管理→1日単位や1か月単位での進捗確認……といった手順だ。

 ただ、受験はうまくいったが将棋の方はずっと3段のままだった。在学中ずっと就活で失敗し続けていたようなものだ。

1/3ページ

最終更新:7/9(月) 15:30
日経BizGate

記事提供社からのご案内(外部サイト)

日経BizGate

日本経済新聞社

・ビジネスで直面する課題を解決!
・人事・組織からマーケティング、ITまで
・専門家の知見や洞察に富んだコラム満載
・マネジメント層の情報ニーズに応えます

Yahoo!ニュースからのお知らせ