ここから本文です

ロイター記者2人を起訴、ミャンマー報道の自由いずこ

7/12(木) 19:09配信

Japan In-depth

【まとめ】

・ミャンマー、ロヒンギャ族虐殺事件を取材した記者2名を起訴。

・司法は公正に機能することなく警察の不祥事発覚を無視。

・スーチー氏政治力発揮せず。ミャンマー民主化、報道の自由依然未熟。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=40972でお読み下さい。】



ミャンマーの最大都市ヤンゴンのインセイン郡区裁判所は7月9日、国家機密情報違反容疑で身柄を拘束、約半年に渡って予備審理を続けてきたミャンマー人のロイター通信記者2人を同容疑で正式に起訴し、公判を開始することを決めた。2人は即日起訴された。

最高刑で禁固14年もありうる同容疑で起訴されたのはワ・ロン記者(32)とチョー・ソウ・ウー記者(28)でロイター通信の記者として西部ラカイン州の少数イスラム教徒ロヒンギャ族の問題を担当。2017年からミャンマー国軍によるロヒンギャ族虐殺事件などの人権侵害を詳しく取材していた。

ロイター通信や2記者は当初から「正当な記者活動であり、機密書類所持は警察による完全なでっちあげである」と強く抗議、無実を主張していた。裁判所は同容疑での起訴が妥当かどうかを判断するため参考人による証言などの予備審理を逮捕後から進めてきた。



■ 警察官による内部告発の衝撃

2018年4月20日の予審で検察側の証人として出廷した現職警察官モーヤンナイン警部が「2人の記者の逮捕は警察が仕組んだものだった」と突然証言。法廷は混乱に包まれ、警察内部に衝撃が走った。

検察側が「証人は敵対証人であり証人申請を却下する」と直ちに同警部の退廷を求めたが、裁判官は証言続行を命じた。そして同警部は「ロイター記者に機密書類を渡した後に逮捕するよう警察幹部から命令された。逮捕しないとお前が刑務所に行くことになると脅された」と警察によるでっちあげ逮捕であると告発した。

ロイター通信、被告、被告弁護団は「無実が証明された。直ちに釈放を」と同警部の勇気ある告発を歓迎した。しかしミャンマー警察は証言を終えた同警部を「警察官職務執行法」違反で起訴、迅速な裁判で禁固1年(不定期との情報もある)の有罪判決で収監、家族は警察官舎から即刻退去させられた。同警部のその後の消息は一切伝えらえておらず、人権団体からはその安否が気遣われている。



■ 2記者の起訴にこだわる事情

裁判所は同警部の証言を「信用に値する」として不起訴の可能性が一時高くなった。それは誰がどう見ても警察の不正が明らかになったからだ。しかしそれでも検察側は「警部の証言はでたらめ」であり、2記者の容疑は明白であるとの立場を崩すこと一切はなかった。そして7月9日の公判で裁判所は2記者の起訴、正式の公判開始を決めた。

こうした背景には、2記者を不起訴として機密書類不法所持が証明できない場合〔1〕警察の不祥事が明らかになる〔2〕2記者が取材していた「ロヒンギャ族10人を虐殺した国軍兵士」の人権侵害が改めて問われる〔3〕一貫して有罪を強く主張してきた検察側の信用が失われるーなど国家組織への深刻な影響への懸念が治安当局最高幹部あるいは政府部内に噴出したため、とみられている。

「司法すらもはや公平ではなく、国際社会や国民の正義への期待は大きく裏切られた」と人権団体や支援組織は失望している。

1/2ページ

最終更新:7/12(木) 19:09
Japan In-depth

Yahoo!ニュースからのお知らせ