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老後生活は「持ち家がいいか賃貸がいいか」の考え方

7/12(木) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 2045年には日本人の平均寿命が100歳になるという「超高齢化」の時代。以前から「長生きするリスク」について提言をしてきた『老後に破産しないお金の話』の著者・大竹のり子氏が、住まいは持ち家がいいのか、賃貸がいいのか、それぞれのメリット、デメリットについて解説します。

 一人暮らしの女性にターゲットを絞って、都心のマンションを販売している会社があります。その会社では説明会を時々行っており、いつも「老後を考えた」若い女性の熱気に包まれています。

 顧客の多くは30代後半の働く女性。「結婚せずに一人で暮らしていく可能性が高いから、今のうちから一生住めるマンションを買っておこう」というわけです。

 30代後半であれば住宅ローンの返済も十分に可能ですし、今後もしも結婚し、購入したマンションに住まなくなるケースがあっても、購入時の6割くらいの値段で売れれば御の字だと考えているようです。

 一方、独身男性の場合、女性に比べるとこんなふうに将来の生活を見据えて住宅のことを考えているケースは少ないように思います。

 DINKS夫婦(子どもを持たない共働き夫婦)の場合も、老後の住まいについて考えないままになってしまうケースは少なくありません。ある40代後半の男性は、28歳で結婚して以来、通勤に便利なマンションで賃貸生活を送ってきました。共稼ぎで子どもがいなかったために、その環境を変える必要も生じませんでした。

 ところが50歳を目前にして、老後の住まいについて漠然とした不安に襲われるようになりました。いまさらローンを組むことはとても無理なので、このまま賃貸で生活していくための資金計画を妻と練らなければならないと思っているところです。

● 持ち家vs賃貸 どちらが得か?

 持ち家か、賃貸か。このテーマについては長く語られてきていますが、専門家それぞれにスタンスが異なり、明確な結論は出ていません。私のところにも、こうした相談はたびたび寄せられますが、FPといえども、この問いに明確な答えを出すことは難しいと感じています。

 というのも、住まいにはその人の人生観が大きく反映されるので、単純に「損得」で割り切ることができないものだからです。

 例えば最近、バッグや時計などブランド品のレンタルビジネスが人気を集めています。「いろいろ違うものを試すことができていい」と愛用する人がいる一方で、「自分のものでなくては嫌だ」と、あくまで所有にこだわる人もいます。これもまた、人生観の違いによるものでしょう。ましてや、家を買うには何千万円という大金が必要です。電卓をはじいての損得だけで明確な答えを出すことはできないのです。

 とはいえ、電卓をはじいての損得においても、明確な結論を引き出すことはできません。なぜなら、将来の金利や不動産価格の変化、家族構成の変化や転勤の有無等により、事情がまったく違ってくるからです。そして何より、「何歳まで生きるか」によって損得が大きく変わりますが、こればかりは予測がつかないからです。

● 高度経済成長期には モデルケースがあった

 過去を振り返ると、高度経済成長期までは、モデルケースが存在していました。男性なら、よい大学を出て大企業に入り、30歳くらいまでには結婚する。女性は専業主婦となり、子どもは2人の4人家族。多くの男性にとって、マイホーム、なかでも庭付き一戸建てを持つことは共通の夢でした。

 時代とともにマンション派も増えていったものの、それでもマイホーム神話は長く健在で、「マイホームを買ってこそ一人前」と思われてきました。こういった神話を盤石なものにした背景には、その頃の日本が高度経済成長期で、毎年平均数%ずつ経済成長していることもあって「不動産は値下がりしない」という、購入を後押しする環境があったからです。

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