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在日中国人が通う中華料理店に「有名店」がほぼない理由

7/12(木) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 東京の新宿や池袋はディープな中華街だ。「本場の味」を追い求めて通う日本人も多いが、私はあるときから「在日中国人が行く中華料理店と、日本人が通う中華料理店はかなり違うのではないか?」と感じるようになった。「そんなこと、当たり前じゃない?」と思う人もいるかもしれないが、なぜ、どこから、そのような違いが出てくるのか考えてみた。(ジャーナリスト 中島 恵)

● とても有名な店が 中国人のグルメ女性からは酷評

 ある日、中国に赴任する日本人の友人の送別会に参加した。北池袋の怪しげな通りにある中華料理店に友人が10人ほど集まったのだが、そのうちの1人は参加者(共通の友人)の妻で、この日初めての参加。唯一の中国人だった。少し遅れてきたその女性は席に着くなり、先に隣に座っていた日本人の夫に小声でこういった。

 「このお店、あまりおいしくないよ。なんでこの店に決めたのかな?池袋だったら、私、もっとおいしいお店をたくさん知っていたのに……」

 他の友人には聞こえなかったと思うが、反対側の隣に座っていた私はびっくり。なぜなら、その店は、日本人の中国関係者の間ではかなり有名な中華料理店で、昔から「おいしい」と評判だったからだ。

 私自身も10回以上、来店したことがある。店内は日本人客と中国人客が半々。中華風の赤い装飾で、店員もコックも中国人だ。その店にわざわざ通う日本人も、おそらくある程度「自分はちょっとした中国(料理)通」だと思っているのではないか……。だからこそ、この発言に私は驚かされた。

 私はその友人の妻と面識があった。彼女は日本に住んで10年以上で、かなりのグルメだ。そこで「えっ、そうなの?池袋で他におススメの中華料理店があったら教えて」と聞いてみたところ3つほど教えてくれたのだが、それらはいずれも私が一度も名前すら聞いたことのない店だった。

 むろん、池袋の中華料理店は数えきれないほどたくさんあるので、私が店名を知らなくても別に不思議ではない。

 だが、少なくとも、東京の中国関係者の間でとても有名な店が、中国人のグルメの女性から「おいしくない」と酷評され、もっとおいしい店に通っているという話は、私にとって新鮮な驚きだった。

● 在日中国人が行く中華料理店と 日本人が行く中華料理店はぜんぜん違う

 これは一体、どういうふうに解釈したらいいのだろう……。私や私の中国関係の友人たちが、たまたま味オンチなのだろうか、と首を傾げたのだ。

 その日は各自が好きな料理を注文し、テーブルにはたくさんの料理が並べられていた。遅れてきた女性がそれらをあまり食べようとしないので、「好きな料理を注文していいですよ」と言ってみたところ、内臓系の料理と辛い鍋料理を注文。

 「みんな、辛いのは大丈夫ですか?」と気遣ってくれたのだが、その2つの料理は、日本人であれば、ほとんどの人が注文しないと思われるような、日本ではかなりマイナーな料理。案の定、その料理が運ばれてきても、他の友人たちは手をつけず、彼女一人だけが食べていたのが印象的だった。

 これは今年初めの小さな出来事だったが、これ以降、私の頭の中にはスッキリしない、ちょっとした“引っ掛かり”が常にあった。

 在日中国人の人口は70万人を超える。一口に「中国人」といってもその出身地はバラバラだし、料理の好みも人によって180度異なる。それぞれが好き勝手に、自分が行きたい中華料理店に行っているのだろう。当然といえば当然だし、それでいい。

 この女性の出身は南京だったが、もしあの場に大連出身の人が同席していたなら、きっと違う料理を注文していただろうし、その店の料理を「おいしい」と思った可能性もある。人の評価なんて、いちいち気にしていても仕方のないものだ。

 ちなみに、その店は「中国の東北料理」がメインだが、日本の多くの中華料理店がそうであるように、それ以外のメニュー(上海料理、四川料理)もたくさんある。よくわからない日本人が東北以外の料理(その店にとっておススメではない料理)を注文して、失敗してしまい、店を評価してしまうこともよくある。

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