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自殺未遂を繰り返す「苦登校」の後遺症、彼の心は誰が壊したか

7/12(木) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

● いじめで何度も自殺未遂 「苦登校児」の消えない苦悩

 「今でも学校を見ると、恐怖感が蘇る」

 そう明かすのは、首都圏に住む30歳代男性のAさん。

 1990年代初頭に通っていた公立小学校で、クラスメイトと教師による「いじめ」によって、毎日泣いて帰る日々を送ってきた。

 それでもAさんは、我慢して学校に通い続けた。学校には行きたくなかったのに、親に言いくるめられて行かされる、いわゆる(不登校を許されなかった)「苦登校」経験者だ。

 登校前になると、下痢などの身体症状が出始める。翌年のクラス替えによって、Aさんは少し楽になった。束の間の平和な1年だった。

 ところが、次の年のクラス替えによって、再びAさんは「いじめ」に遭うようになった。登校時の下痢などの症状も再発した。

 「学校では、苦しいことに耐えているだけだったので、成績も上がりませんでした。私は成績を上げるために、カフェインのドロップを取りながら、寝ないで勉強しました。そうしたらカフェインを摂取し過ぎて睡眠をとらなかったことが原因で、体調がおかしくなってしまったんです」(Aさん)

 Aさんへのいじめは、中学に入学してからも続いた。

 中学時代になると、「死にたい」と思う気持ちが強くなっていった。でも、いざ自殺しようと思うと、涙がポロポロと出てきて止まらなくなる。自殺しようとすると思いとどまる、そんな日々が繰り返されていく。

 高校に入ると、勉強のための睡眠不足からくる幻聴などに苦しみ、精神科クリニックに通った。その後、高校でもいじめが続いたため転校し、18歳で無事に卒業した。

 翌年、医療機関も変えてデイケアに通うようになり、Aさんは「初めて人間らしい扱いを受けている」と感じた。

 卒業後は、郵便の配達や販売の事務、ホテルの清掃などのアルバイトを転々とする。この間、短時間睡眠の本を読んで実行してみたが、身体を壊して仕事を休んだ。

 Aさんは、それまで貯めたお金で、専門学校に入学した。親はバイトをやらせようとしていたが、気づいたら幻聴は消えていた。ただ、疲れやすさは取れなかった。

 2年後、専門学校を卒業し、障害年金を受給し始める。しかしAさんは、午前5時頃に寝て午後3時頃に起床する生活を送った。健康診断の血液検査を受けてみたところ、中性脂肪が異常値を示したため、内科にかかった。そこでAさんは、これまで自分が通っていた精神科がおかしかったことに気づく。

 さらに大学病院に転院してからは、ダイエットや整体を始めた。一方でAさんは、自分がゲーム好きだったことを自覚するようになり、ゲームの個人制作者を目刺すようになった。就労移行支援事業所にも通ってみたものの、週3日行くことは体がもたず、体力的な問題で断念した。

● 日大アメフト部みたい――。 生活訓練で人格否定される日々

 そこでAさんは、別の精神科の病院に併設された生活訓練を受けてみた。治療の一環で行われるデイケアのプログラムだ。デイケアは、週5日のカリキュラムが組まれていた。Aさんはゲームをつくりたかったのに、生活訓練では「ゲームをやめて仕事しろ!」と人格否定され、“ゴールの変更”を迫られる暴力的な支援が行われた。

 また、疲れやすい体質だったAさんは、「疲れは甘えだ」と何度もループされ、指示に逆らうと密室で2人のスタッフに追い込まれる“圧迫説教”を受けた。しかし、こうした暴力的な生活訓練を親が支持していたため、Aさんはなかなか抜け出すことができなかった。

 「親が信者のようになっていて、日大アメフト部の監督みたいな感じだったんです」

 我慢できなくなったAさんは役所に助けを求め、「家を出て生活保護で新たな人生を生きていきたい」と訴え出た。その結果、役所からの問い合わせによって生活訓練はようやく中止になった。

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