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W杯と日本代表と本田圭佑を観てたら阪神タイガースが頭に浮かんだ。

7/12(木) 17:01配信

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ひるがえって、阪神タイガースである。

 ひるがえって、阪神タイガースである。極北ロシアのピッチから、いきなり甲子園の芝の上へと移るのは突飛かもしれないが、実は大阪の入気球団にも、長らく同じ命題が横たわっているのだ。

 近年、球団フロントからはこんな言葉が聞こえていた。

 「福留はすごいよ。頼りになる。でも、いつまでも頼っていたらあかんやろ。ああいうベテランから奪うぐらいの選手が出てこんとなあ……。だから、うちは育成が下手だって言われてしまうんや」

 タイガースの若手は一軍の舞台へとやってきても、すぐにまた二軍へ逆戻りしてしまう。自然、実績のあるFA選手やベテランばかりに頼ることになる。それが世間の見方だった。そういう新陳代謝のなさを打破すべく、3年前、金本知憲監督に就任を要請した。

 顔ぶれはかなり変わった。代謝は促され、血の入れ替えは大幅に行われたと言っていいだろう。ただ、それでも相変わらず、勝敗を背負う選手というのは変わらない。ここに長らくタイガースが抱えるジレンマがあるようだ。

レアルやバルサより多いと言われる番記者。

 「うちは世界一のスポーツマスコミに囲まれている。これは間違いないやろ。それが良い面もあるし、いろいろ難しくしている部分もある」

 球団フロントが自虐的に、しかし、どこか誇らしげに言うのは、おそらく真実だ。

 常時、40人に迫ろうかという番記者の数は、「レアル・マドリーやバルセロナより多い」と言われている。365日、タイガースを追うメディアの報道が、その何倍もの賛否を呼び、それが球団や選手へと跳ね返ってくる。

 良ければ天までのぼらされ、悪ければ地の底にたたきつけられる。そういうジェットコースターのような環境の中を、新たなスターは這い上がっていかなければならない。

 3億円助っ人のロサリオがまったく浮上せず、糸井嘉男が離脱している今、4番を打つのは5年目の陽川尚将だ。

タイガースの選手に降り注ぐ膨大な視線。

 じつは彼も長らく批判の対象になっていた。2013年のドラフト3位。当時、その順位であれば、広島カープの連覇に貢献し、侍ジャパンにも選ばれている田中広輔(JR東日本)が指名できた。

 「なんで田中を獲らんかったんや」

 球団内部では議論になった。その後、赤いユニホームで田中が躍動すればするほど、陽川との明暗がはっきりすればするほど、論争に拍車がかかった。

 彼はそういう中で、じっと力をつけ、ようやく、ここまで来たのだろう。

 これは私見だが、おそらくタイガースの選手たちは、海外のリーグに挑戦しているサッカー選手たちの何倍もの視線と報道に晒されている。その中をまるで鯉の滝のぼりのように遡上して、天国と地獄が同居する大甲子園で結果を出し、強面のベテランを蹴落とさないといけないわけだ。

 厳しいのは百も承知だ。ただ、もし、それが成れば、猛虎にもロシアの日本代表のような劇的な変化が訪れるのでは……。ピッチに転がるサッカーボールを眺めながら、なぜかそんなことを考えてしまっている自分がいた。

(「One story of the field」鈴木忠平(Number編集部) = 文)

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最終更新:7/12(木) 17:41
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