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海南航空集団・王健会長の突然死を巡る黒い噂

7/12(木) 11:46配信

日経ビジネスオンライン

 中国最大の民間航空コングロマリット・海南航空集団(HNA)の会長、王健が旅先の南フランス・プロバンス地方の教会で、記念写真を撮ろうと高さ15メートルの壁に上って、転落死した。7月3日のことである。このニュースは、かなり衝撃を持って報じられた。

 その理由の一つは、HNA自体がいろいろといわくつきで、習近平自身やその右腕たる現国家副主席の王岐山がらみの黒い噂の絶えない企業であったこと。しかも、ブルームバーグによれば、昨年末時点で負債総額が推計6000億元にのぼり、事実上破綻しているということ。2月には、中国当局が主だった国有銀行にHNA救済を窓口指導し、政府主導のもとでの再建話が進んでいるということ。

 一方で、HNAはドイツ銀行やヒルトン・ワールドワイドなど名だたる海外企業の筆頭株主で、その海外資産は120億元以上、国内外合わせた子会社は450社以上で、その再建の成否は国内外企業、経済にかなり大きな影響を与えるという意味でも注目されていた。これは単純な事故死なのだろうか。一体HNAで何が起きているのだろう。いや、中国経済界で何が起きているのだろう。一人の民営企業幹部の死から見えてくるものを整理してみたい。

 王健について改めて説明すると1961年天津生まれ。元は民航総局計画局の公務員で、1988年に海南省の出資1000万元をうけて民間航空総局の公務員であった陳峰とともにHNAの前身である海南省航空公司を創立した。その後、海南省航空公司が株式化、中国市場に上場し海南航空集団として事業を拡大していく中でも実務派としてかじ取りしてきたHNAのナンバー2である。

 中国民航大学や中国発展改革研究院で客員教授も務めていた。彼は7月3日昼前、プロバンス地方に視察旅行中、観光名所のボニュー村の教会で記念写真をとろうと、壁によじ登ったのだという。一度登ろうとして失敗し、二度目に登ったときに転落したらしい。地元警察は事故と発表しているが、当然、それを信じない人も大勢いた。というのも、HNAは事実上破綻の危機にさらされ、しかもその組織や株式構成には非常に複雑な大物政治家の利権と黒い噂が絡んでいたからだ。

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