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宇宙の起源に迫るため、物理学者たちは研究所に「宇宙」をつくる

7/16(月) 12:11配信

WIRED.jp

シルケ・ヴァインフルトナーはゼロから宇宙を構築しようとしている。英国のアウトロー「ロビン・フッド」の伝説で知られるシャーウッドの森近くにつくられたノッティンガム大学の物理学研究所で、彼女たちは直径1mの巨大な超伝導コイル磁石を扱っていた。

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その内部には液体が溜められている。穏やかな波紋を描くこの液体は、わたしたちを取り巻く宇宙で観測できる構造をつくり出した物質のゆらぎを模倣するために溜められているのだという。

ヴァインフルトナーは、自身が支配する宇宙をつくり出そうとする邪悪な天才ではない。彼女はすでに存在するこの宇宙の起源を理解したいだけなのだ。

ビッグバンは最も一般的な宇宙の始まりを示すモデルだが、しかしその信奉者の間でも、それがどのように起こったかについては意見が統一されていない。ビッグバン理論は宇宙をあらゆる方向に向かって超高速かつ均一に引き伸ばし、一瞬で宇宙を膨張させる仮説上の量子場の存在に頼っている。

このプロセスはインフレーションと呼ばれている。しかし、インフレーションや、インフレーションの原因となる場を直接証明することはできない。だからこそ、ヴァインフルトナーは研究所でそれを模倣しようとしているのだ。

ビッグバン理論が正しければ、生まれたての宇宙は小さな波紋、いわゆる「量子ゆらぎ」によってつくられたはずだ。このゆらぎはインフレーションの最中に引き伸ばされ、物質と放射線、あるいは光へと変化した。ゆらぎは最終的に宇宙の大きさまで拡大し、銀河、恒星、惑星の種を撒いたと考えられている。

その小さな波紋こそが、ヴァインフルトナーがあの巨大な超伝導磁石を使ってモデル化しようとしているものだ。その内部には直径約6cmの円形タンクが入っており、水とブタノールが分離した状態で満たされている(これらの液体は比重が異なるため混ざらない)。

宇宙のインフレーションを模倣する
まず彼女の研究グループは、人工的な重力の歪みを引き起こす。「磁場の強さはその位置によって異なります」と、論文の共著者のひとりであるリチャード・ヒルは述べる。「液体を場のなかの異なった位置に移動させることで、事実上重力を増減させることができるのです」と彼は述べる。「重力を逆さまにすることだって可能です」

研究グループは、重力を変えることで波紋をつくり出そうとしている。だが、池の波紋とは違って、この歪みは水とブタノールという2種類の液体の間に現れる。「波紋の速度を注意深く調節することで、宇宙のインフレーションをモデル化できます」とグループの別のメンバーであるアナスタシオス・アヴゴスティディスは説明する。

宇宙のインフレーションは、物質の波紋が一定速度で伝搬する間に空間が急速に拡大する。そしてこの実験では、液体の体積が一定量にとどまっているため、波紋は急速に速度を落としてしまう。「この2つのシナリオにおいて、波紋の伝搬は同じ方程式で表せます」とアヴゴスティディスは言う。

これは重要なことだ。もし結果として生じるゆらぎが今日の宇宙で見られるような構造を引き起こしうるかのように見えるとすれば、わたしたちはどのようにインフレーションが作用したか垣間見ることができるのだから。

ヴァインフルトナーや、あるいはほかの誰かが宇宙の現象を小さな規模で模倣しようと試みたのは初めてのことではない。強い重力場における光波のように伝わる音波を用いたり、あるいは液体や気体にゆらぎを引き起こす磁石を用いたり。より洗練された装置を開発している天体物理学者は世界中の研究室にいる。

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最終更新:7/16(月) 12:11
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