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夜行列車が欧州で「絶滅」せず走り続ける理由

7/16(月) 6:00配信

東洋経済オンライン

 日本ではほぼ絶滅してしまった夜行列車。欧州でも採算が取れない、と一度は大幅縮小の動きもあったが、その後は復活の兆しを見せ始め、今では列車によっては席が取れない日もあるほどの盛況ぶりを見せている。一部では、いったん縮小した運行路線を再び広げる動きも出てきたほか、復活を求める署名運動も起きている。

【写真】各国の車両を連結したブダペスト発チューリヒ行きの夜行列車

 格安航空(LCC)が台頭し、夜行バスの運行も広がる中、夜行列車が復権に向かっている理由はどこにあるのだろうか。

■夜行列車網を継承し低コスト化

 2016 年12月まで、欧州ではドイツを中心に各国の主要都市間を結ぶ夜行列車「シティナイトライン(CNL)」が走っていた。シャワー付きの個室をはじめ、星空が浮かぶイメージでつくられたラウンジカーなど、乗り心地を重視したサービスが提供されていた。

ところが、LCC網の拡大、昼行列車の高速化による所要時間の短縮、さらには欧州各国間を結ぶ夜行バス網の充実などもあり、CNL事業を運営していたドイツ鉄道(DB)は2015年12月、1年後にCNLから撤退すると決定。その後、大半の運行ルートをオーストリア連邦鉄道(ÖBB)が継承し「ナイトジェット」の名で運営することで存続が図られた(2016年12月9日付記事「日本人が知らない欧州『寝台列車』の超絶進化」)。

 ÖBBは夜行列車ネットワークを引き継ぐにあたり、運行区間の再編を実施した。たとえば、夜が明けてから走行する部分は極力カットし、昼行の高速列車などへの乗り換えを促す格好で調整を図った。これにより、オランダやフランスへのルートは消えた。

 現在、ナイトジェットはオーストリア・ドイツ・スイス・イタリアの各地を結ぶ列車を運行している。このほか、クロアチア・スロバキア・チェコ・ハンガリー・ポーランドの各国鉄道が「ナイトジェット・パートナー」の名の下に連携して夜行列車を運行している。

 また、オーストリアから他国に向かう列車については、各都市から出発する同じ目的地の車両を、国内の駅で1本の列車へと組み直す作業を実施(逆方向も同様)。列車をまとめることで、乗り入れにかかる線路使用料の削減を図っているほか、他国の朝通勤時間帯のダイヤへの影響を最小限に抑えている。

 「各国のワゴン(車両)がこんな形でつながっているとは――。30年前にモスクワへ行った時以来だよ!」

 筆者とブダペスト発チューリヒ行きの寝台車で同室となったハンガリーの研究者はそう口にした。

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