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「いつか普通になるよ」という親切な言葉が痛い<発達障害のリアル>

7/16(月) 8:50配信

女子SPA!

【ぽんちゃんはおしゃべりができない Vol.4】

 小学生5年生の娘と小学2年生の息子を持つシングルマザーの筆者が、発達障がいの息子・ぽんちゃんとのドタバタな日々を綴ります。

<前回のあらすじ>

2歳なのに歩けない、話せない息子。かかりつけの病院から大きな病院を紹介してもらい検査をしたものの、異常なしという結果が出た。じゃぁ、この子はなんなの!? 筆者は見えない不安に襲われるのだった。

◆「いつか普通になるよ」と言われても…“普通”って何?

“発達障害”と一言で言っても、その症状は本当に様々で、みんなの性格が違うように、その子によってすべてが異なる。うちのぽんちゃんは、2歳を迎えても歩こうとしなかった。そして、言葉も出ない。2歳違いのお姉ちゃんであるみーちゃんは、2歳の頃はもうペラペラと話していた。比べても仕方はない。わかってはいるけど、どうしても比べてしまう。

 その頃、周りから一番言われて嫌なのは、「お母さんがたくさん話しかけてあげればいいんじゃない?」という言葉だった。近所の人は悪気なく、息子を見てそう言ってくる。善意なのはわかっている。でも、人一倍話す私は、ぽんちゃんに対して毎日毎日、話しかけている。みーちゃんだって、ことあるごとにぽんちゃんに話しかけているのだ。

 この子が言葉を発しないという事実は、そんな簡単なことではない。根本的に違うのだ。

 だからこそ、私はその言葉が本当に悔しくて、悲しくてつらかった。でも、親切で話しかけてくれるのがわかるからこそ、ただ笑顔を返すことしかできなかった。そのたびに深く、深く傷ついた。

 よく、発達障害の子に対して、「見た目じゃわからないのにね」「あんなの普通だよ」と声をかけてくれる人がいるけれど、自分の子供が“普通じゃない”ことに気づいているママに、この言葉はどんな刃よりも鋭く、心に刺さる。なにより、「いつか普通になるよ」という言葉に、心の中で「普通ってなに!?」と何度も叫んだ。

 そう、“普通”ってなんなの?

 そんなことをもやもやと考えていても、ぽんちゃんは日々成長をする。たしかに、ほかの子とは違う成長の仕方かもしれないけど、毎日、ちゃんと大きくなる。言葉も話せない、歩けない分なのか、驚くほどコミュニケーション能力が高い。

 カフェに入ればかわいいお姉さんを見つけ手を振ってはニコッとキラースマイル。「かわいい~」という言葉に応えるように首をコテンとかしげ、また「かわいい~!」の声を浴びる。その様はアイドル顔負け。人見知りなんてまったくなく、通り過ぎる人たちの視線を集めてはニコッと笑い、褒められては満足そうにしている。

◆ぽんちゃんのペースが、ぽんちゃんの“普通”

 そんな表情を見ていると、毎日先のことをもやもや考えている自分がばからしくなる。この子は毎日楽しく過ごしているのだ。それなのに、私がヘコんでいても、何もいいことはない。それなら、ぽんちゃんの歩幅で、ゆっくり、私が歩いていけばいいだけの話。そう頭を切り替えた数日後、2歳と1カ月で、ぽんちゃんはいきなり歩くようになった。何の前触れもなく、むくりと起き上がり、一歩、そしてまた一歩とふらふらしながら歩きだしたのだ。

 とんだマイペース! 自由かよ! 思わず涙が流れてしまうママを横目に、「パチパチ」と手をたたいて楽しそうにしているぽんちゃん。そうだ、ぽんちゃんは、ぽんちゃんなりのペースで歩いている。それが、ぽんちゃんの“普通”なのだ。

<文/吉田可奈 イラスト/ワタナベチヒロ>

【登場人物の紹介】

息子・ぽんちゃん(8歳):天使の微笑みを武器に持つ天然の人たらし。表出性言語障がいのハンデをもろともせず小学校では人気者

娘・みいちゃん(10歳):しっかり者でおませな小学5年生。イケメンの判断が非常に厳しい。

ママ:80年生まれの松坂世代。フリーライターのシングルマザー。逆境にやたらと強い一家の大黒柱。

【吉田可奈 プロフィール】

80年生まれ、フリーライター。西野カナなどのオフィシャルライターを務める他、さまざまな雑誌で執筆。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘は“死ぬこと以外、かすり傷”。著書に、女子SPA!での過去の連載をまとめた『シングルマザー、家を買う』がある。Twitter(@singlemother_ky)

【ワタナベチヒロ プロフィール】

漫画家、イラストレーター。お金にまつわる役立つ知識をオールマンガで1冊にまとめた著書『お金に泣かされないための100の法則』(ファイナンシャルプランナー山口京子先生が監修)が主婦と生活社より発売中。

女子SPA!

最終更新:7/16(月) 11:15
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