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ロシアW杯総括:日本の光明と「属人的なゲームモデル」の限界

7/17(火) 19:52配信

footballista

文 結城康平


 国の威信を背負う選手たちが心身の限界へと挑むフットボールの祭典・W杯は、長い期間を費やしたチーム作りの集大成となる。

 EURO2016王者ポルトガルを倒し、ベスト8でフランスに惜敗したウルグアイのオスカル・タバレス監督は、2006年に就任してからの12年間をチームへと捧げている。しかし彼らのように継続的な強化を目指す中堅国もあるが、結果に左右されてしまうフットボールにおいてウルグアイのように指揮官に信頼を寄せ続けることを選ぶ国は少ない。

 サー・アレックス・ファーガソンが退いたマンチェスター・ユナイテッドのように、クラブでも長期政権は難しくなっている。監督を交代しながら異なったスタイルをチームに植えつけることで、結果を模索するアプローチは珍しくない。日本もヴァイッド・ハリルホジッチを大会直前に解任し、代役として西野朗を就任させた。

 2010年W杯では岡田武史氏が厳しいプレッシャーの中チームを導いたように、西野監督の双肩には凄まじいプレッシャーが襲いかかったに違いない。チームのスタッフも刷新される中「3バックを検討している」という報道もあったが、結果的に多くの主力選手が慣れている4バックを選択したのは英断だった。戦術に固執せず、現状の主力に適合する形を選択したことは鹿島アントラーズで活躍するCB昌子源の好パフォーマンスにも繋がった。

■10人の相手を攻略できず、苦戦したコロンビア戦

 序盤に中盤の要カルロス・サンチェスが退場したことで、ピッチ上での数的優位を得ることになった日本代表。だが、コロンビアの堅牢な[4-4-1]ゾーンに苦しめられることになる。

 前線にラダメル・ファルカオを残し、中盤が引いてくるMFを積極的に迎撃する「鎖のように連動した」守備を前に、ラインの間で受けることが得意な香川真司は沈黙。焦って縦パスを狙ったところを奪われ、一気にショートカウンターを浴びる場面も少なくなかった。

 コロンビアの指揮官ホセ・ペケルマンは、守備ブロックの強化を目的にフアン・クアドラードを外し、フアン・キンテーロをアタッカーの位置に残す。この采配で、長友佑都・乾貴士・長谷部誠の間に生まれる守備のスポットを見事に攻略した。1-1の同点としたフリーキックの場面も長友の処理ミスから生まれており、右サイド(日本の左サイド)からの攻撃は理に適っていた。それにしてもサイド攻撃の軸となるはずのクアドラードを容赦なく外したことは、ペケルマンがコロンビアというチームを知り尽くしていることを感じさせた。

 「強度の高い守備ブロックを前にすると、攻略に苦慮してしまう」ことは日本の大きな課題だ。冷静に状況を見れば、1点リードしている日本は自陣後方の数的優位なゾーンへコロンビアを引き込むことも可能だったわけだが、無理に敵陣に仕掛けられた罠へと飛び込んでしまうような試合運びは危険だった。

 後半に入り、ペケルマンはハメス・ロドリゲスとカルロス・バッカを相次いで投入。コロンビアがバランスを崩しながらも攻撃に比重を置いたことで、日本は相手に合わせるように落ち着きを取り戻した。ブロックを作られる状況よりも、相手がある程度ボールに寄せてくる局面を得意としている日本は、自陣でのボール回しによってリズムを取り戻し、試合を終わらせた。

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最終更新:7/17(火) 19:52
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