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子どもは検査結果に反して障害児だった… 「新型出生前診断」開始5年、私がいま思うこと

7/17(火) 6:10配信

オトナンサー

 2013年4月に日本国内で「新型出生前診断」の実施が始まり、5年がたちました。新型出生前診断は、妊婦の血液で、胎児にダウン症などがあるか分かる検査です。採血による簡単な検査で済む半面、結果によっては「産む/産まない」の重い決断を迫られることになります。

「命の選別」との批判も根強い出生前診断についてどのように考え、向き合っていくべきなのでしょうか。著書に「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)などがある子育て本著者・講演家の立石美津子さんが、自身の出生前診断の経験を踏まえて語ります。

出生前診断で分からない病気や障害も

 新型出生前診断の正式名は「母体血胎児染色体検査(NIPT)」といいます。妊婦の血液の中にある胎児由来遺伝子を調べることにより、13トリソミー(パトー症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、21トリソミー(ダウン症候群)などの染色体異常や、特定の遺伝疾患を調べるものです。検査に必要な採血量は20ccで、その検出率は99%とされています。検査可能な時期は妊娠10~18週ごろまで。保険は適用されないため、約20万円の費用がかかります。

「赤ちゃんに障害があるかどうか明らかになる検査」と思いがちですが、実はこの検査で分かるのは、星の数ほどある障害の中の一部です。染色体異常は、胎児に見られる異常のうち、4分の1にすぎません。つまり、出生前診断で陰性の結果が出たからといって、必ずしも病気や障害がないとは言い切れないのです。

検査結果は「陰性」、生まれた子どもは自閉症

 母になろうとしている人は、誰も好んで「障害児を産みたい」とは思わないでしょう。その一人だった私は18年前、出生前診断を受けました。「染色体異常ではない」という検査結果が出たものの、生まれた子は障害児でした。

 不妊治療を経て38歳で妊娠した時、不妊治療専門クリニックで「トリプルマーカーテスト」を知りました。これから続く約10カ月の妊娠期間中「おなかの子どもが障害児だったらどうしよう」と不安を抱えながら過ごしたくない。そんな軽い気持ちで検査を受けることにしたのです。

 採血の結果は「21トリソミー(ダウン症候群)の可能性【80%】」。

 当時の検査は、染色体異常の確率を出した後、精密検査として羊水検査に進むものでした。おなかに針を刺し、羊水を抜いている処置の最中、ずっと泣いている私に、医師は「何をそんなに泣いているんですか」と厳しい口調で言いました。「どんな子どもでも産もうと考えているならば、最初からこの検査を受けないでしょう。検査を止めますか?」と。

 医師の言葉は正論でした。「障害の有無に関わらず、どんな子どもでも産んで育てる」覚悟ができているのであれば、そもそも受けることはない検査だったのです。泣いていること自体、矛盾している態度でした。

 確定検査の結果が出るまでは約1カ月。医師から「検査結果が出て1週間以内に産むか産まないか決めてください」と言われました。

 結果は「21トリソミー(ダウン症候群)の可能性は【ない】」。13トリソミー(パトー症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)も陰性でした。

 しかし、息子が生まれて2年後、明らかに他の子とは違う異質な行動が見られるようになり、専門医を訪ねたところ、知的障害を伴った自閉症と診断されました。

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最終更新:10/12(金) 13:17
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