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青森県「ねぶた祭」頼みの観光PRをやめた理由

7/17(火) 6:00配信

東洋経済オンライン

■他県とは一線を画すユニークな企画

 津軽海峡で大間の漁師がマグロと格闘する姿を間近で見ることができる「大間マグロ一本釣り漁ウォッチングツアー」、八甲田山でホワイトアウトを体験し、遭難の恐ろしさを感じ取ることができる「極寒クレイジーな超絶ホワイトアウトツアー」など、他県とは一線を画すユニークな企画を次々に発表する青森県。

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 2017年には外国人延べ宿泊者数(従業員10人以上の施設)が23万9150人を記録し、宮城県を抜いて初めて東北1位に輝いた。外国人宿泊者数の前年比においては伸び率67%を記録し、全国の都道府県で最も高い数値を弾き出すなど、外国人観光客からも熱視線を送られている注目の都道府県になりつつある。

 青森県が誇る観光資源を外国人観光客にアピールしたこと、そして東アジアからの定期便を就航させ、航空路線を拡大するなど積極的に誘致を行ったことが飛躍につながったわけだが、青森県の観光へのアプローチを取材すると、観光の形が変わりつつあることがわかる。

 「外国人観光客が増えてきたからこそ、国外需要と国内需要の観光、2つの観点から考えていく必要がある」と語るのは、青森県観光国際戦略局観光企画課の木村圭一氏。

 「青森県には、弘前の桜、奥入瀬渓流の新緑、夏のねぶた祭り、紅葉の十和田湖、というように各季節に観光資源があります。ですが、“見る”ことに特化した物見遊山型の観光は、年々国内では需要が減少しつつあります。今後は人口減少により、ますます物見遊山におカネを使う人が減っていくことが予想される。その中で、日本に来ることそのものが特別な体験となる外国人観光客は物見遊山を純粋に楽しんでくれる人が多い。これまでの経験を活かしたPRを国外向けに発信する一方で、国内需要を伸ばすために、今までとは違う新しいことを始めなければという危機感があった」(木村氏、以下同)

 国内需要における物見遊山の限界。47都道府県の観光PRと言えば、景勝地、温泉、祭り、日本酒が定番だろう。似たようなコンテンツをPRするあまり、消費者はどれを選んでいいかわからなくなる“選択のパラドックス”に陥ってしまう。さらに、若い世代の多くは時間やおカネに余裕がない。国内需要を考慮したとき、紋切型の観光に対して消費者は振り向きづらくなっている。

 「青森県のイメージを聞いたところ、マグロや八甲田山という声が多かった。さらに、何をしたいかアンケートを取ったところ、マグロの例でいえば、『釣りたい』『釣っているところを見てみたい』という回答が最も多かった。そこで現地で実際に旅行会社を運営している方に企画を持ち込み、地元のマグロ漁師さんも交えて実現に向けて奔走した。構想からツアー開始まで3年ほど費やしました」

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