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朝鮮半島問題、日本にとって「最悪のシナリオ」とは?

7/19(木) 12:22配信

Wedge

 前回は、朝鮮半島を中心とする極東の安全保障情勢に影響を与えうる各種要因につき、主に「能力」の面に着目して現状分析を行った。第二回となる本稿では、これまでの分析に基に、今後の朝鮮半島をめぐる情勢がどのような方向に進む可能性があるか、複数のシナリオを検討し、その上で日本が取り組むべき課題について考えてみたい。

シナリオ(1)非核化交渉の停滞、経済・軍事圧力路線への回帰

 第一は、継続的な米朝交渉を経ても北朝鮮が誠意ある非核化を実施する態度を見せなかった結果、米国が態度を再び硬化させ、米韓は定例合同軍事演習を再開。終戦宣言を含む平和プロセスも進まず、結果的に米韓同盟や在韓米軍も従来通り維持されるシナリオである。

 これは現時点での客観的な情勢判断を最も冷静に反映させ、各国が安全保障のリアリズムに沿って行動するシナリオであり、日本が元々描いていた「最大限の圧力」アプローチへの回帰とも言い換えられる。ここでは、一度弛緩した対北封じ込め網を締め直し、北朝鮮が自発的に核・ミサイルの放棄を余儀なくされるまで抑止態勢を立て直すことになる。だが、北朝鮮の非核化意思がいかに怪しいものであっても、政治基盤を盤石にした文政権が自発的に対決路線に振れることは考えにくい。したがって、このシナリオに至るドライビング・フォースとなるのは、米国に対する脅威が低減されていないことを理由に、米国内のトランプ支持層に否定的な見方が増え、トランプ大統領自身がより強硬な姿勢で北朝鮮から実質的な譲歩を勝ち取る必要性に迫られた場合であろう。

 このシナリオでは、実質的な核武装国となった北朝鮮と我慢比べをする以上、締め付けを解こうとする北朝鮮による武力攻勢(核・ミサイル実験の再開、限定的な軍事挑発等)回帰リスク、あるいは痺れを切らした米国による先制軍事行動のリスクがつきまとう。しかしそのリスクの大きさは、これ以外のシナリオによって生じるリスクを相対的に比較した上で評価する必要がある。

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最終更新:7/19(木) 12:22
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