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シンガポール人が笑う「日本企業」のダメなところ

7/19(木) 12:10配信

日経ビジネスオンライン

 日本人駐在員にとってシンガポールほど住みやすい国はないと思う。公用語が英語であり、欧米と違い片言の英語でも無視されることなく、人種差別されることもほとんどなく、法律、教育、交通といったビジネスおよび生活インフラが整っていて安全だからである。

【関連画像】閑散としているJapan Food Town。平日夜7時に撮影したにも関わらず、約半数のお店に客はいなかった。

 私は2012年にシンガポールに移住し、税理士として日本企業のシンガポール進出を支援をして7年目になる。シンガポール滞在が長くなるにつれて、日本人や日本企業の海外進出の在り方に疑問を持つようになった。

 シンガポール移住前は、漠然と日本はシンガポールよりも優れていると思っていたが、今では自分がうぬぼれていたことを恥ずかしく思っている。そう思ったのはTax Academy of Singaporeでローカルの税務署職員や大手会計事務所の所員と一緒に国際税務について学んでいたときのことである。

 Tax Academy of Singaporeでは多くのケーススタディを学んだが、失敗事例は全て日本企業の事例だった。講師はよく日本企業はロジカルではない、何年も赤字を垂れ流していても撤退しない日本企業は謎だと口にしていた。

 肩身を狭くして授業を受けていたが、心当たりはいくつもあった。例えば、シンガポールに支店を持つ企業に対し、法人税の実効税率を下げるため支店から現地法人に組織形態を変更するようアドバイスしたことがある。シンガポールの法人税率は17%だが、その支店の実効税率は12%で現地法人にすれば8%以下になる試算であった。アドバイスに対してクライアントは、税金はいくらでも払うし、変更によって税務調査が入るようなことがあると嫌なので支店の形態を継続するという回答だった。

 実効税率が下がれば最終利益が増えて企業価値が増加する。コスト削減には厳しい会社なのにコストの一部である税金を減らすことよりも変化することを回避したことが印象的であったと共に専門家としての無力さを感じた。

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