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「オウム真理教」キーパーソンと直接対決した、ある芸人の証言

7/20(金) 11:00配信

現代ビジネス

中学時代から「麻原ウォッチ」を続けた新聞記者

 オウム真理教の話をするときに気をつけなければならないのは「若者は知らない」ことだ。23年前の地下鉄サリン事件はおじさんにとって今でも生々しいが若者はピンとこない。

まずオウムはどのように登場したのか。若者にこそ正しく伝えなきゃいけない。当時の空気をよくあらわした記事があった。7人の死刑が執行された翌日に『日刊スポーツ』に掲載されたコラムである。

『「怪しい魅力」に取り憑かれた信者』(日刊スポーツ7月7日)

中学生時代から「麻原ウォッチ」を続け、それが仕事にもなってしまったという広部記者(47歳)が振り返る。

購読していたオカルト情報誌『月刊ムー』(学研)1985年10月号の読者投稿欄。ヨガ道場「オウム神仙の会」を主宰する「麻原彰晃」なる長髪男が、空中に浮いている写真とともに「驚異の空中飛行に成功した」という文を寄稿。そのあとライバル誌にも登場し、瞬く間にオカルト業界に名を広めていった麻原。正直インパクト抜群だったと広部記者は書く。

《「怪しい魅力」を強烈に放っていた。バブル初期の日本。彼が発する何かが、浮かれ始めた世間にむなしさを感じていた一部高学歴層らの心を直撃したプロセスは、理解できた。》

しかし、おかしな点もすぐに出てきた。ヨガ道場のはずが宗教団体になってしまったり、「秘密はすべて公開する」と言っていたのにヨガのビデオ価格は10万円だった。教団の用語もよく変わった。そのあと広部氏は記者となり、少年の頃に感じた「おかしさ」と同じベクトルの話が次々とオウムから出てきたという。

 この振り返りだけでも、オウムは最初からわかりやすい悪役で登場したわけではないことがわかる。それどころか当初は「へんないきもの」的に扱われていた。

オウムは80年代後半のバブル期がセットで語られる。上記のコラムもそうだ。カネまみれで世の中が浮ついていたからこそ、神秘主義に興味を抱く若者が増えたという解説である。

そのとおりだと思うが、私も自分の言葉で伝えたい。私の実感だとこうだ。

当時は「おもしろ主義」が破壊力を持った時代だった。おもしろ主義は、すべての価値を相対化させることで発生する。

エラそうなもの、伝統的なもの、おじさんくさいもの。それらの王道の価値を引きずり降ろし、笑う。

 私の体験で言うとドリフや欽ちゃんで王道を楽しんだあと漫才ブームが訪れ、そのあと『オレたちひょうきん族』『笑っていいとも! 』が登場した。革新的だった。トドメはとんねるず。痛快だった。

おもしろ主義は(私が名付けただけですが)、お笑いだけでなく他のジャンルや文化そのものにも似た空気を感じた。相対化によってフラットになった空気はどこかカラッとしていて、でも虚無的な気分も放っていた。

オウムがあらわれたのはそんな時。価値相対化の時代に、絶対化を掲げて登場したのである。

ここで言う絶対とはつまり宗教である。しかしその入り口は堅苦しいものではなく、それこそ多くの少年が親しんだ『ムー』にも登場した。ノストラダムスの大予言、1999年を大いに意識していた時分である。クラスの本棚にも「世界の未知・不思議」系の本はふつうに置かれていた。こういう80年代の事情もオウムに作用したのだろう。

私がオウムの存在を知ったのは『サンデー毎日』の記事だ。平成元年(1989)で80年代の最後の年。

《奇しくも、いまから29年前、平成の最初の年の10月から、この『サンデー毎日』の誌面で「オウム真理教の狂気」と題する連載を開始したことによって、教団の実態が白日の下に曝され、追及がはじまった。》

 (『サンデー毎日』「オウム真理教の狂気」は終わっていない! )7月22日号)

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最終更新:7/20(金) 11:00
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