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被災者もボランティアも要注意!災害時に発症しやすいエコノミークラス症候群の恐怖

8/5(日) 18:31配信

@DIME

■医師がすすめるカラダにイイこと~教えてDr倉田~

 平成30年7月豪雨では、避難所や仮設住宅が整備され始めていますが、避難者数はじめ、被災住宅数など被害の全容はまだ明らかになっていません。被災された方だけでなく、仕事やボランティアの方にも関わる「エコノミークラス症候群」についてご説明します

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エコノミークラス症候群とは?
「エコノミークラス症候群」は、個人空間が狭い「飛行機のエコノミークラス」から付けられた名称です。では「ビジネスクラス」や「ファーストクラス」なら関係無いかと言うと、「エコノミークラス」より頻度は下がるものの、発生しています。

「エコノミークラス」だけの問題ではないこと、「ビジネスクラスやファーストクラスなら安全なのでは?」という誤解を避けるため、正式には「ロングフライト血栓症、旅行者血栓症」や「深部静脈血栓症」と呼ばれています。ここでは、分かりやすい(一般に知られている)ことから、「エコノミークラス症候群」という言葉を使用します。

「エコノミークラス症候群」は、『足(下肢)の静脈に血栓(血の塊:静脈血栓)が出来て、(降機後など)歩行や運動をきっかけとし、血栓が血流に乗って飛び、肺の動脈を詰まらせる病気』です。

■災害とエコノミークラス症候群に関連性はあるか?
 2004年新潟県中越沖地震で11名が「エコノミークラス症候群」を発症し、うち4名が亡くなり、災害との関連性が注目され始めました(11名中7名の方が車中泊)。

 2011年3月11日に発生した「東日本大震災」で、宮城県内の医療機関が2011年3月下旬から5月下旬にかけて、避難所の被災者に対し「下肢静脈超音波検査(エコー)」を実施しました。すると「静脈血栓」の陽性率は、震災直後3月下旬で45.6%、4月には25.8%と一旦低下したものの、5月に再び37.0%に上昇しました。これらはあくまでも、「”避難所”での検査結果」ですが、「災害とエコノミークラス症候群」は関連性が高いと言えます。

 理由として、下記のようなことが考えられます。

・「活動(運動)の低下」: 避難所や避難先、車中泊など生活スペースが狭まることに加え、災害により行動が制約されること、心身の疲れから「活動(運動)が低下する」傾向があります。厚生労働省は、災害が関係する「生活不活発病」の対策として、軽めの運動やリフレッシュも重要としています。

・「脱水症」: 「脱水症」が起きると、カラダの中の血液がドロドロになり、血が固まりやすくなります。暑い時期に発生した災害であることに加え、今年は生命に関わる危険な暑さであり、「熱中症」から引き起こされる「脱水症」にも注意が必要です。

 被災後の生活で、どの程度水分を摂取すれば良いのかという指標はありません。春先に発生した東日本大震災と比較することも出来ません。

 コーヒーなどカフェインを含む飲み物やアルコールは、利尿作用があるため控えた方が良いでしょう。「今の時期特に気をつけたい熱中症7/12」で書いたように、OS-1(株式会社大塚製薬工場)をはじめとする「経口補水液」が理想的ですが、入手が難しい可能性もあります。スポーツドリンクやミネラルウォーター、薄めのお茶を飲むことが現実的かもしれません。参考になるのかは不明ですが、飛行機内における「エコノミークラス症候群」の予防としては、「1時間にコップ半分程度の水分補給」が理想的とされています。

 ただし高血圧や腎臓病、糖尿病など持病との兼ね合いも考慮しなければなりません。

 「最低でも1時間にコップ1杯の水分を飲む」ことは必要かもしれません。

■被災者だけでなくボランティアなど救援者も注意が必要??
 現在、被災地までや被災地内での交通手段が限定され、業務やボランティアなど救援に関わる方も、車やバスで移動することが多いと思われます。

 日本国内で過去に「エコノミークラス症候群」は、飛行機だけでなく、長距離バスでの発症も報告されています。長距離移動が伴う意味では、バスや電車でも注意が必要なのです。

■マメに「足の運動」を!!
 足の血の巡りが悪くなるため、脚を組むことは避け、適度に足を動かすことが重要です。「全日空(ANA)」HPや機内誌「翼の王国」に掲載されている「エコノミークラス症候群」の予防法が分かりやすく、参考になるのでご紹介します。

1.足先を充分に伸ばしたり、曲げたりする。
2.足全体をゆっくりと大きな円を描く様に回す。
3.ふくらはぎ全体をこぶしでトントンと軽く叩く
4.足先を上下につま先立ちする
5.足の指でじゃんけんのグーをつくる
6.足の指でじゃんけんのパーをつくる

 1時間ごとに3~5分程度行うと良いでしょう。

■女性は特に注意したい!
 過去の災害における調査では、「エコノミークラス症候群」の発症に「性別」は関係無かったとの報告があります。旅行における「エコノミークラス症候群」でも、日本国内では高齢、肥満気味の女性に多く発症したとの報告がありますが、海外では男女平等で全ての年齢層に発症しています。「エコノミークラス症候群」自体が世界でどの程度発症しているか把握出来ないため、実状は不明です。それでも女性は男性よりも注意した方が良いと思われる理由をご説明しましょう。

・「トイレ問題」: 被災地では、上下水道の障害、夜間に電気が付かないことから、「屋外仮設トイレ」が設置されますが、慣れないトイレで用を足さなければなりません。男性と比べ女性は、トイレが近くなることを避けるため、水分補給を我慢してしまう傾向があるので注意が必要です。水分補給を我慢するのではなく、ゆっくりと少しずつ、こまめに体に水分を浸透させましょう。「熱中症」予防としても水分補給は欠かせません。

・「足の長さ」: 男性に比べ、女性は身長が低く、足の長さ(特にひざ下)も短い傾向があり、結果的に血流が滞りやすいので注意が必要です。

・「経口避妊薬(ピル)、女性ホルモン補充療法」: 経口避妊薬や女性ホルモン療法を受けている方は、血液が固まりやすい(血液凝固能の亢進)傾向があります。自己判断で注意することは避けた方が良いと思いますが、主治医と相談することをお勧めします。

■「睡眠薬」も要注意!
 災害後には慣れない生活やストレスなどから不眠症が起こり、「睡眠薬」を飲むことがあるかもしれません。ところが「睡眠薬」の服用で、不自然な格好で寝こんでしまうと、結果的に血行が悪いまま長時間過ごすことになるため、注意が必要です。同様の理由から、「寝酒」も要注意です。さらに「睡眠薬+お酒」の組み合わせは、カラダにとって危険ですので避けなければいけません。

■予防に役立つグッズ!
「エコノミークラス症候群」では、足の血流低下が関係します。足の血行を促すグッズとして、ひざ下丈の「フライトソックス(弾性ソックス)」を活用する方法があります。

 ドラッグストアなどで購入できますので、これからボランティアに行かれる方や支援物資としても良いでしょう。

「エコノミークラス症候群」は、被災者だけでなく、ボランティアなどで現地に行かれる方も注意しなければなりません。過去の災害を参考にすると、発災直後だけでなく、数か月注意が必要であること、今年は暑さが厳しく特に「熱中症」から引き起こされる「脱水症」にも十分気をつけましょう。

取材・文/倉田大輔(池袋さくらクリニック 院長)

@DIME編集部

最終更新:8/5(日) 18:31
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