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「アマボクシングに命懸けとる」山根明の書かれざる素顔。

8/10(金) 18:31配信

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 今やすっかり時の人となってしまった山根明・前日本ボクシング連盟会長。最初に取材してから30年以上にわたって長く接してきた中で、筆者なりに感じた彼の人物像を記しておきたい。

 「俺はアマチュアボクシングに命懸けとる」

 「法人のために体張って生きてきたからな」

 これまで山根明氏の口からこんな言葉を何度聞かされてきたことだろう。

 法人とは「一般社団法人日本ボクシング連盟」のことである。「命懸けとる」とはなんと大げさな、なんと物騒なと思われるかもしれないが、本人は大真面目で、山根氏の半生、特に後半、ボクシングに関わるようになってからは、まさに命懸けで日本アマチュアボクシングのために戦ってきた。その挙句が「会長辞任」。

 AIBA(国際ボクシング協会)の理事として8年間活動する中で、押しの強さと独特のキャラで国際的に顔を売った。この間、「ジュリー(審判委員)」として参加したアジア圏の国際大会では、日本代表選手に下された敗北の判定が不当だとして猛烈に抗議し、判定を覆させたこともあった。

とんでもないワルの印象だが。

 週刊文春は最新号(8月16・23日号)で、「山根明『悪の履歴書』」と掲げて特集を組んだ。他のメディアの記事タイトルにも「悪行」「マル暴交際」の文字が躍っている。山根氏を知らない人はやくざの親分のようなこわもての風貌と重ねて、とんでもないワルとの印象を受けたかもしれない。

 しかし私がこれまで取材で接してきた山根氏の印象は異なる。

 「俺は曲がったことなどひとつもしとらん」と言うのが口癖だった。

 実際、そう信じて生きてきたことは間違いない。

「いい人」だという関係者も。

 例えば、今回問題となったJSC(日本スポーツ振興センター)からの助成金の分配などがまさにそれである。「助成金不正使用」と追及されたが、本人の懐に入れたわけでもない。3選手に助成金を受けさせたいのに、JSCからは1人のみと指定されたので、勝手に配分した。

 自ら「親心からしたこと」と言うように、これが山根流の“常識”なのである。のちに「助成金の主旨を知らなかった」と謝罪したが、今でも悪いことをしたとは思っていないはずだ。

 今回の騒動で山根氏の評判を取材して回った複数のテレビ関係者が「いい人だという意見もありました」と言っていたが、番組や記事ではこうした声はほとんど取り上げられることがなかった。

 多くのスポーツ競技団体の幹部たちはほとんどが大学・高校など教育関係を出身母体にして出てくる。日本ボクシング連盟も山根氏の登場以前はやはり大学の指導者たちが仕切っていた。山根体制以前も同じように独裁型で、当時から疑惑の判定が横行し、学閥の弊害も指摘されていた。

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最終更新:8/10(金) 21:21
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