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伊達政宗肝いりの食べ物とは?

8/11(土) 9:01配信

朝日新聞デジタル&[アンド]

【連載】城旅へようこそ

幕末の書物にも描かれている、岡崎の特産品・八丁みそ。八丁みそと呼ばれるのは、岡崎城(愛知県岡崎市)から西へ八丁、870メートルほど離れた八丁村(現在の岡崎市八帖町)でつくられたみそだからだ。

【写真】徳川家康が生まれた城として知られる岡崎城、村上市の「千年鮭 井筒屋」ほか

八丁村一帯は、東海道と矢作川の水運が交わる交通の要所だった。八丁土場という船着き場から流域で収穫された良質な素材を調達し、できあがった八丁みそを出荷した。長期保存ができるため、兵糧として岡崎藩に保護されたこともあり、岡崎の地場産業のひとつとして発展していった。

みそ蔵は東海道をはさんで並んでいたため、街道を往来する参勤交代の武士や伊勢参りの参拝客の間で評判となり、やがて江戸にも出荷されるようになったという。現在でも「カクキュー」「まるや」の2軒のみそ蔵があり、変わらぬ製造を続けている。

さかのぼれば、戦国時代には三河兵士の兵糧として珍重されたようだ。織田信長が今川義元を破った1560(永禄3)年の桶狭間(おけはざま)の戦いでは、徳川軍の“戦陣にぎり”としてみそが食糧になったといわれている。

みそといえば、客人に自ら料理を振る舞うほどの腕前だった伊達政宗が、兵糧として開発したのが仙台みそだ。豊臣秀吉が全国の諸大名を出兵させた1592(文禄元)年からの文禄・慶長の役(朝鮮出兵)の際、政宗が持参したみそは夏場でも腐敗・変色せず、質の良さが評判になったという。

関ヶ原合戦後、政宗は仙台城を築き、城下に敷地900坪の御塩噌蔵(ごえんそぐら)という設備をつくった。いわばみそ工場で、常陸(ひたち)から招いた真壁市兵衛を中心に醸造を開始したという。仙台みそは米こうじを使用した辛口の赤みそで、塩分が11~13パーセントと高めなのが特徴だ。

江戸時代には、倹約による郷土料理も多く生まれた。たとえば、備前ばらずし。隠しずしともいわれるこの料理は、魔法のようなすしだ。錦糸(きんし)卵が一面に載せられた、一見質素な料理だが、ふたをしてひっくり返すと、瀬戸内の海の幸や山の幸がふんだんに盛られた豪華なすしに変身するのだ。

からくりが潜んだ遊び心のあるこのすしは、備前岡山藩主の池田光政がぜいたくを禁止し「食事は一汁一菜」と命じたのが誕生のきっかけと伝わる。質素倹約の政策に反発した庶民の心意気とユーモアが詰まったこの郷土料理は、岡山駅周辺の飲食店で味わえるほか、駅弁にもなっている。ぜひご賞味を。

一方、藩政を救った城下町名物もある。新潟県村上市で食されている鮭料理だ。軒先に鮭を風干しする「塩引き鮭」は、村上の冬の風物詩でもある。村上は平安時代から鮭との関わりが深く、江戸末期に成功させた三面川(みおもてがわ)の鮭の自然ふ化事業は世界初とされる。漁獲高が飛躍的に増えて村上藩の財政を救ったことから鮭が尊ばれ、頭や皮、中骨や白子などもすべて食べ尽くす食文化がある。

鮭料理の種類は、100種類以上に及ぶ。色とりどりで目にも鮮やかだ。これだけ鮭づくしだと飽きそうな気もするが、料理によって別の食材のように味わいが異なり、奥深さに驚く。村上の銘酒、大洋盛や〆張鶴とともにどうぞ。

#交通・問い合わせ・参考サイト
■岡崎城
名鉄「東岡崎」駅から徒歩15分
https://okazaki-kanko.jp/okazaki-park/feature/okazakijo/top(愛知県岡崎市公式観光サイト)

■仙台城
JR「仙台」駅から観光シティループバス(るーぷる仙台)「仙台城跡」バス停下車
http://www.city.sendai.jp/shisekichosa/kurashi/manabu/kyoiku/inkai/bunkazai/bunkazai/joseki/(仙台市)

■岡山城
JR「岡山」駅から岡電バスまたは両備バス「県庁前」バス停下車、徒歩5分
https://okayama-kanko.net/ujo/(「岡山城」公式ホームページ)

■村上城
JR「村上」駅から徒歩約25分
http://www.city.murakami.lg.jp/site/kanko/oshiroyama.html(村上市)

■千年鮭 井筒屋
JR「村上」駅から徒歩約20分
https://www.murakamiidutsuya.com/

(文・写真 城郭ライター 萩原さちこ / 朝日新聞デジタル「&TRAVEL」)

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