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「就活勝ち組」たちが早期退職を決断した理由

8/11(土) 6:00配信

東洋経済オンライン

 「就活のゴールは内定ではない」。これから就職活動を控え、必死に内定を目指す学生に、こんな言葉は不可解だろう。しかし、就活生の誰もがうらやむ企業に入社しながら、すぐに辞めてしまう先輩が少なくないのも現実だ。彼ら彼女らは、就活で内定取得には成功したものの、続けたいと思う職の選択はできなかったと言える。

【図】「企業選びの軸は業種と職種」だが・・・

 今回は、人気企業に入社したのち、3年以内に辞めてしまった先輩2人の体験談をもとに、なぜそのような事態が起こるのかをひもといていく。

 毎日同じことの繰り返しだった――。

 朝6時20分に起床し、7時15分に自宅を出る。8時30分に会社に着くと、パソコンを立ち上げて9時の始業を待つ。経理書類の不備をチェックし、取引のある販売代理店から問い合わせがあれば、電話で回答する。

■同じことの繰り返し、人間関係に辟易

 日々の楽しみは、定時の17時半に仕事を終えて向かう、スポーツジムでのヨガ教室だ。ストレスを発散し、21時に帰宅して夕食を済ませると、23時には就寝している。そして、翌朝6時20分に目覚まし時計が鳴れば、またいつもと同じ1日がやってくる……。

 小林明日香さん(30歳、仮名)は、立教大学を卒業後、金融大手のA社に新卒で入社し、地域限定職として働いていた。テレビCMも流れる有名な企業で、就活する学生にも人気がある。小林さんも強く希望して入ったが、わずか1年10カ月勤めて退職した。「選んだのは自分ですが、事務作業は合ってませんでした」(小林さん)。

 業務内容への葛藤以上に、小林さんを転職に駆り立てたのは、人間関係だった。配属後に指導役として付いた先輩は、気まぐれに機嫌が変わる女性で、必要以上に気を遣った。いつしか、自分への「被害」を避ける接し方だけがうまくなり、ろくに仕事の質問もできなくなっていた。

 ランチタイムはもっと悲惨だった。50代のお局社員がここぞとばかりにグチをぶちまける。お決まりの話題は同じ部署にいる別のお局社員の悪口で、何を食べていてもおいしく感じられなかった。

 小林さんは「総合職の社員も、仕事よりも生活にプライオリティを置いて働いている人が多い印象でした。仕事に夢を持っている人は、あまりいないと感じました」と振り返る。

 人間関係に嫌気がさしたとき、頭をよぎったのは、大学時代に打ち込んだフィリピンでの植林活動だった。小林さんは大学時代、ボランティア活動を行うサークルに所属し、3度フィリピンに渡っている。山中にある村で活動し、3週間ホームステイをする。受け入れ先は毎回同じ家族だったという。「私たちがお世話になったのは、人なつっこく家族のように迎えてくれる人たちだった。人って温かいなと感じたし、その恩返しがしたくて活動していた」。

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