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スマートフォンのバッテリーにまつわる9つの「嘘と真実」

8/16(木) 8:10配信

WIRED.jp

わたしたちがスマートフォンを手放すことはほとんどないが、ときにそれは魔法使いの道具のようにも感じられるだろう。その気まぐれなバッテリーに関していえば、Bluetoothをオンにしたら20パーセントも速く減るとか、何年も使っていればいきなり充電できなくなるといった話が、そこらじゅうに転がっている。

リチウムイオンバッテリーが「爆発」する5つの理由

こういった問題を解決するべく、バッテリーの「神話」を集めてみた。ひと晩中ずっと充電器につなぎ続けないようにしたり、小休止として電源をオフにしたり。たとえそれが意味のない振る舞いであったとしても、わたしたちは働き詰めのバッテリーが少しでも長もちする方法をいつも探している。

こうした伝承を科学的に検証するため、バッテリーのエキスパートに相談してみた。最も普及している神話に判決を下してもらい、噂話を科学的に説明してもらうとともに、可能であれば携帯電話の寿命を延ばす賢いアドヴァイスをもらうというわけだ。

1.表示が100パーセントでも、まだ充電の余地がある

【真実】

ディスプレイに表示されるパーセンテージより、もう少しだけ充電できる余裕が携帯電話には存在する。だが、それを使ってしまうと全体的なバッテリーの寿命を劇的に縮めてしまうことになる。この問題の要点は、生産工程における繊細なトレードオフだ。

たくさんバッテリーを充電できるようにすると、充電するたびにバッテリー内部を傷つけてしまう。何百回、何千回にも及ぶ充電を可能にするには、生産時にバッテリーの電流に制限を設ける必要があるのだ。

この問題を理解するには、バッテリーがどのように機能しているかを知る必要がある。スマートフォンやノートパソコン、電気自動車に使われているようなリチウムイオンバッテリーの中心部は、ふたつの層からなる。

ひとつはコバルト酸リチウムで、もう一方は黒鉛だ。黒鉛の層からコバルト酸リチウムの層へとリチウムイオンが移動する際に、エネルギーが生まれている。バッテリーを充電するときは、単にリチウムイオンを逆方向へと戻していることになる。つまりコバルト酸リチウムから黒鉛へと動かしているのだ。

バッテリーの寿命と充電のサイクルの問題に戻ってみよう。コバルト酸リチウムの層から何度もリチウムイオンを移動させていれば、層全体の構造が狂ってしまう。ケンブリッジ大学でエネルギー貯蔵に関して研究をしているケント・グリフィスは「物質の原子構造は実際のところ、すべてのリチウムを取り去ると崩れてしまうのです」と語っている。

つまり、100パーセント以上のバッテリーを充電することが可能だが、それは極めて重要なリチウムイオンを取り去ることにしかならない。「建物のなかでフロア中から梁を取り去ってしまうようなものですよ」と、グリフィスは言う。リチウムイオンを取り去ることはできるが、傷つけてしまった内部の構造を元に戻すには祈るしかない。

それゆえ、バッテリーには充電できる量に制限が設けられている。ほとんどの場合、一度の完全な充電によってなくなっていくコバルト酸リチウム中のリチウムイオンは、およそ半分だけに設定されている。「半分以上消費していればさらに充電してもいいですが、そんなに何度もしなくてもいいのです」

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最終更新:8/16(木) 8:10
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