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カリスマブームに乗った美容師のせつなすぎる現実。「独立しても1年で廃業…」

8/20(月) 15:50配信

女子SPA!

 カリスマ美容師ブームに乗って美容師になった世代が今、多くの問題に直面している。増え続ける美容室、人手不足、働き方改革……。美容師業界を取り巻く問題をリポートする。

⇒【グラフ】美容所数と新規美容師免許取得の推移

 花形職業としてその地位を確たるものにした美容師業界だが、5年ほど前からおかしなことになっているという。美容室の急増と廃業が繰り返され、人手不足や勤務形態の変化など、さまざまな問題も合わさり、頭を抱える美容師が増えているという。美容品メーカーの営業マンに聞いた。

「カリスマ美容師ブームが起きた’90年代後半から’05年くらいまでに美容師に憧れて業界に飛び込んできたコたちが、5年ほど前から独立ラッシュを迎えています。この独立ラッシュによって美容室が供給過多になっているのです」

 美容室は年々増加傾向にあり、その数は’18年時点で全国に約24万3000軒。コンビニエンスストアの5万5000軒と比べて4倍強もある。ちなみに日本全国の信号機の数は20万8000基であり、我々は信号よりも美容室を多く目にしていることになる。この異常な店舗数が美容師たちのクビを絞めているのである。

◆増え続ける美容室を支えるリース会社

 某有名美容室に勤務した後、3年前に原宿で独立した美容師の山田隆一さん(仮名・38歳)が、美容師の独立開業の裏側について語ってくれた。

「そもそも美容師の給料なんてたかが知れてます。大手で勤続10年でも年収は300万円超えれば御の字。貯金なんてつくれないし、まとまった開業資金を借りようにも融資してくれるところもない。そこで出てくるのがリース会社なんですよ」

 リース会社とは、シャンプー台やイス、ボイラー、パーマ器具など高価な美容器具をリースしてくれる会社のことだ。山田さんによればこのリース会社がカネも信用もない美容師たちの独立を支える存在となっているという。

「居抜き物件をブッキングしてくれることもあり、そうなると必要となる開業資金は物件を借りるカネとしばらくの運営資金くらいで、機材費など大きな初期費用はかかりません。独立のハードルはグンと下がりますね」

 これだけ聞けば美容師業界の救世主のようにも見えるが……。

「居抜きでそのままといっても、看板だけ替えて何もいじらずに開業なんてことはまずありません。シャンプー台やイスも別のリース品に変更しなきゃいけないし、内装の変更も必要です」

 気がつけば、さまざまな費用がかさんでいったという。

「改装の費用に加え内装のデザイン費などと称して、リース料を1年分上乗せされました。最初の見積もりは月6万円の5年契約でしたが、気がつけば月10万円。おまけにシャンプーやパーマ液などの薬剤も包括的にリース会社と契約しなければならないんですよ。これがけっこう割高で、加えて賃料の支払いもあります。開業した途端に地獄が始まりましたね」

 山田さんの店は原宿のやや奥まった場所にあり、30㎡ほどの広さで賃料は約20万円。場所柄、新規の飛び込み客はほとんどなく、集客はホームページと紹介のみ。リース代とシャンプー代や光熱費などの諸経費を支払うと毎月手元には雀の涙ほどのカネしか残らないどころか、赤字の月もあるという。

「一度、集客しようと新聞折込広告を入れたんですが、これもダメ。そもそも今の若い方は新聞取ってないんですよ。客単価を上げようにも、今の原宿は低価格路線ですしね。家賃の値上げも言われているし、店のものはほとんどリースなので、内装費用の実費を払って次の更新までに廃業する予定です」

 この“廃業のしやすさ”が、今の独立ラッシュを支えるカラクリだと、前出の美容品メーカーの営業マンは指摘する。

「美容室は開業1年で6割が廃業するというデータがありますが、購入ではなくリースだから廃業しやすいんですよ。儲からなきゃ畳めばいいって美容師は多いんですよ。リース会社も独立したい美容師なんか山ほどいるから、損はしないし困らないんです」

 美容師が独立すればするほど、儲かる仕組みが裏ではキッチリとできあがっているのだ。

― “美容師業界”のせつなすぎる現実 vol.1 ―

女子SPA!

最終更新:8/20(月) 16:50
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