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アテネでは死を意識… 野口みずき語る「東京五輪」マラソン酷暑対策

8/22(水) 5:59配信

デイリー新潮

 東京五輪まであと2年。酷暑ゆえ、マラソンは午前7時スタートが決まったが、それも“焼け石に水”としか思えないほど、東京の夏は殺人的に暑い。そこで聞いてみた。野口みずきさん、どうすればいいですか? 

「アテネも暑かったですが、東京はそれを超える物凄い暑さになると思います」

 と語るのは2004年アテネ五輪金メダリストの野口みずきさん(40)である。

「アテネも暑さを避けるために夕方のスタートでしたが、それでも気温は35度。アスファルトの照り返しもあり、体感温度は40度を超えていたかもしれません。大会後の取材で、私、“死を意識したのはアテネだけです”と答えていますが、本当に死ぬかもしれないと思ったレースでした」

 レースで野口さんはあえて先頭を走った。

「先頭で風を受けて走った方が疲労度が低いと思ったからです。集団の中は想像以上に人いきれが酷くて、選手が発する熱気を始終浴びています。これを避ける意味合いもありました」

 レース前、野口さんは、優勝候補のラドクリフが保冷剤で体中を冷やしていたのを目撃していた。

「どうして逆効果なことをするのだろう、と疑問に思いました。というのもキンキンに冷えた保冷剤は冷やしている間は良いのですが、外すと逆に暑さを感じてしまうのです」

 冷やすのは体全体でなく、

「手のひらだけ走る直前に10度程度の冷水で冷やすと、体の内側まで効果的に冷やせます。最近では、代表チームの合宿にも手を冷やす専用の機械が用意されているそうで、これをやるだけでもスタート時のパフォーマンスはずいぶん変わってくると思います」

脱水症状を前提に走る

 いわゆる“冷えピタシート”も、

「太い血管が皮膚の浅い所を通っている首筋や腋の下、足の付け根に張り付けると有効です。日本の技術力を総結集して、優れた冷却シートを開発してほしいですね。商品化されれば、一般ランナーも喜ぶでしょう」

 メッシュの帽子や首筋の日よけもおすすめだ。

「13年の世界陸上では、早めに帽子を取った私は暑さに負けて途中棄権、30キロ過ぎまで被っていた福士加代子さんは3位入賞でした。直射日光は思った以上に体力を奪うと痛感しましたね」

 熱中症予防にはとにかく給水。マラソンにも何カ所か給水ポイントがあるが、

「たっぷり飲みたくても、レースなので、1回に飲めるのはせいぜい100ミリリットルくらい。つまりレースを通じて摂れるのは最大1リットルほどで、かく汗を到底カバーできません。夏のマラソンは、脱水症状を前提にして走る必要がある。つまりは暑さに耐えうる体づくりが重要になってくるのです。私は現役時代、毎日4300キロカロリーを摂取していました。食事をしっかり摂り、熱中症に罹りにくい強靭な体力を作ることが重要です」

 酷暑を乗り切る金メダリストの金言――ランナーならずとも傾聴の価値あり。

「週刊新潮」2018年8月16・23日号 掲載

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最終更新:8/22(水) 5:59
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