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金足農業・吉田輝星「ドラフトか進学か」重い決断と恩義

8/27(月) 16:00配信

NEWS ポストセブン

 彗星のごとく甲子園に現われ、日本中の注目を一身に集めた金足農業・吉田輝星(こうせい)。プロスカウトの評価はうなぎ上りで、ドラフト1位での競合指名も有力視される彼には、既に約束した“進学先”があった。プロ志望届を提出するか否か──周囲の期待と思惑の中、17歳は重すぎる決断を迫られている。ノンフィクションライターの柳川悠二氏がレポートする(文中敬称略)。

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 大阪桐蔭の春夏連覇達成からおよそ3時間後──同校宿舎には、大勢の保護者やファンがナインの到着を待ち構えていた。

 例年通りの光景ではある。ところが、明らかに様子が違う点があった。報道陣の数が極端に少ないのだ。一方、準優勝校である秋田・金足農業の宿舎は、用意された部屋が人であふれかえっていたという。

 金足農業に13対2と圧勝し、史上初となる2度目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭の偉業よりも、吉田輝星というたったひとりの球児の881球の熱投が、話題をさらったのである。

 入場者数が過去最高となる100万人を超えた100回目の甲子園は、バックネット裏の光景も違っていた。いつも2回戦を終える頃には甲子園を後にするスカウトの姿が、いつまでもあった。根尾昂(あきら)や藤原恭大(きょうた)といった、ドラフト上位候補を揃える大阪桐蔭“最強世代”の視察目的もあるだろう。しかし、“平成最後の怪物”の存在が大きい。彼らは吉田が「プロ志望届」を提出することを心待ちにしている。東北のファンもまた、ご当地選手として東北楽天での活躍に期待を寄せる。

 今後の関心は吉田の将来に移っていく。事態は本人だけでなく様々な大人の思惑が交錯する状況にある。

 決勝から遡ること11日(8月10日)。1回戦の鹿児島実業戦を終え、1日の休息日を挟んだ金足農業の練習場は閑散としていた。

 初戦で14三振を奪う快投を見せたとはいえ、当時は吉田狂騒曲のいわば“序曲”で、金足農業の決勝進出を予期できた者など、誰もいなかっただろう。練習を終えた吉田の周りにいたのも、私ひとりだった。

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