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中韓勢に蹂躙された重工系造船会社を待ち受ける「敗戦処理」

9/13(木) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

日本の造船業が青息吐息だ。かつて日本勢は、安い給与水準と積極的な設備投資で欧州勢を退け、世界の造船業界を席巻した。それと同じことを、日本は中国・韓国勢に仕掛けられているのだ。しかも今は造船業界全体が深くて長い不況をさまよう。中韓勢のように国の強力なバックアップがない上、社内からもコンスタントな利益創出を求められる総合重工系の造船部門は、この荒波をどう乗り越えるのか。重工系の造船部門は、日本の近代化を担い、高度経済成長期を支えた名門中の名門。盛者必衰の理と簡単に片付けられないためにも、生き残り策を真剣に考えるべきときが来ている。(*本記事は『週刊ダイヤモンド』2018年9月8日号第2特集「国内首位 今造すら赤字 造船「敗戦処理」」を一部編集して特別公開するものです)
 「昔はね、OBに『造船会社はクジラだ』って言われた。たまに水面に浮上して息ができれば生きていけるんだって。でも今そんなふうに考えてたら、会社を維持できない」

 三井E&Sホールディングス(旧三井造船)傘下の三井E&S造船社長である古賀哲郎氏ははっきり言うが、何も先人たちがのんきだったわけではない。

 船の世界は、景気や為替によって市況が揺れやすい。だが世の中の荷物の9割以上は船が運んでいるのだから、不況になってもじっと我慢していれば稼げるときが必ず来る──。これが“クジラ理論”で、造船関係者は経験則からこれを信じて疑わなかった。

 ここ最近では、2007~08年に、中国の「爆食」による貿易量の増加で船舶バブルが到来した。

 海上運賃は現在の数倍に高騰。一獲千金を狙う投機目的の投資家までが市場に参入し、船はどんどん発注された。「心配になってこっちが止めるくらい高値で発注してくるところもあった」(造船関係者)といい、造船会社では「造れ造れ」の大号令が飛んだという。

 リーマンショックで海運市況は低迷したものの、10年代前半に景気が回復すると、船の発注はまた増えた。おかげでいまや、船はすっかり供給過剰だ(下図参照)。

 しかし、三菱重工業系の三菱造船の北村徹取締役が「日本の造船業界にとっての大転換期だ」と気を引き締めるように、今回ばかりは「いつもの市況の乱高下」と一笑に付すわけにはいかない。

 造船業は、高度経済成長期の日本を支えた一大産業だった。1950年代後半に欧州勢を退けて建造量世界一に躍り出ると、80年代まで約5割のシェアを握り続けた。だが90年代に入ると最新鋭の設備と連続建造体制を持つ韓国が勢力を拡大。10年ごろには自国の荷物を自国で造った船で運ぼうとする中国が台頭し、以降、造船業界はこの2国が圧倒している。

 造船業は、安い賃金で労働者をどれだけ確保できるかがものをいう労働集約的な産業だ。日本が第2次世界大戦後の安い給与水準と積極的な設備投資で造船業界を席巻したのと同じことが、韓国、中国で起こったわけである。

 中韓勢は、需要低迷下でも仕事を確保しようとなりふり構わず価格攻勢を掛けてくる。日本は技術力に一日の長があるものの、船価低迷期では技術力の差が価格に反映されにくい。もはや日本に価格をリードするだけの力はないのだ。

 たとえ船価が上がったとしても、ばら色の未来は描けそうにない。「想定以上に、中韓勢の技術革新のキャッチアップが速い」(海運会社社員)からだ。

 建造が難しいとされた液化天然ガス(LNG)船の主戦場はすっかり韓国に移った。技術力が低い中国は、かつて造船業で日本に負けた欧州勢を取り込むことでノウハウを蓄えている。欧州の舶用機器メーカーをサプライヤーとして組み入れたり、欧州のエンジニアを雇用したりしているのだ。

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