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コンプライアンスとは何か。中日は昭和の遺風から脱却できていない。

9/14(金) 13:31配信

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不祥事は起こりうるが、対応が重要。

 野球界に限らず人間がやっている限り、不祥事は昔も今もこの先もある。しかし、近年は決定的に違うことがある。今年に入ってからだけでも西武ライオンズは未成年選手の喫煙が週刊文春からの取材で発覚したことを受け、出場停止処分を科した。

 巨人では不適切な画像をSNSにあげた2選手に出場停止処分を、窃盗事件を起こした選手は契約を解除した。球団が業務委託したトレーナーによるわいせつ事件と合わせ、老川祥一オーナーが引責辞任する事態にまで進展した。DeNAでも未成年選手の飲酒が外部からの通報で発覚。厳重注意処分を科している。

 こうした選手の行状を蒸し返すことが目的ではないから、調べればすぐにわかることでも実名は差し控えた。昭和の遺風にしたがうなら、これらの多くはもみ消したか、少なくとももみ消しを試みたはずだ。

 しかし、今は痛みを伴ってでも膿を出す。負の情報でも隠蔽するのではなく、積極的に外部に公表する。普通の未成年なら補導され、親や学校にしかられるだけだが、プロ野球選手だとその非行は世にさらされ、その先もつきまとう。内々に済ませてやりたいが、そうはいかない。

 入団直後から折に触れそうした教育をした上で、間違いを犯せば組織として公表に踏み切り、しかるべき立場の人間が謝罪する。それがコンプライアンスというものだ。

低迷する現場より根深い問題。

 中日では筆者が知る限りで、非行(犯罪)が原因で退団したケースはこの10年ほどでも数件はある。しかし、表向きの退団理由は他の選手と同じ「戦力外通告」だ。

 「悪いことをしたとしても、第2の人生があるから」という理由はもっともらしく聞こえるが、本当にそうなのだろうか。謝罪会見や責任者の処罰などをめんどうなことだと考えてはいなかったか。組織としてはその選手を追い出し「なかったこと」にした方が楽だからではないのか。

 中日ドラゴンズは昭和の遺風から今も脱却できずにいる。ある意味、低迷する現場より根深い問題だ。

(「草茂みベースボールの道白し」小西斗真 = 文)

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最終更新:9/14(金) 13:46
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