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キャットフードがまずいとき、猫はこんな顔をする!? 研究によって明らかに  

9/15(土) 15:40配信

HARBOR BUSINESS Online

 こんにちは、微表情研究家の清水建二です。前回に引き続き、私たちの身近にいる動物の表情分析についてです。

 今回のテーマはネコ。ネコってなぜだかグルメだと言われていますよね。うちで飼っている犬とネコたちを比べて観察していると、犬はたいてい何でも食べてくれますがネコたちは食べ物にそれぞれ好みがあり、値段の安いキャットフードは食べてくれません。みなさんの飼われている犬やネコも似たり寄ったりではないでしょうか。

 さて、そんな食べ物を選り好みするネコですが、彼女(彼)らはどんな表情をして食べているでしょうか?美味しそうな表情をしていますか?それとも真顔でしょうか? 本日はそんなグルメなネコの表情に迫りたいと思います。

 Michaelaら(2016)の研究知見をまとめますと、ネコは美味しいと感じているとき、匂いを嗅ぐ、目を半分閉じる、舌を少し出す、鼻を舐める、下アゴで一回だけ噛む動き、という表情をすることが報告されています。

 一方、ネコが不味いと感じているとき、口を大きく開けて舌を出す、という表情をすることが報告されています。

 いかがでしょうか。皆さんのまわりのネコたちはこんな表情していませんでしょうか?

 表情のそれぞれの意味を見ていきましょう。まずは美味しい表情からです。

 匂いを嗅ぐ動作は、好ましくない味あるいは水と比べて好ましい味に対して長く行われることが観察されており、ネコは嗅覚を使って(も)美味しさを判断している可能性が指摘されています。

 目を半分閉じる表情は、乳幼児やヒト以外の類人猿、ウサギにも共通して観られる動きで、主にリラックスしている状態を意味します。

 舌を少し出す動きは、ヒト(この動きはヒトの世界では「舌鼓を打つ」と表現される動きです)、ヒト以外の類人猿、ラット、ネズミ、ウサギ、馬にも共通して観られる動きで、ネコも例外ではないようです。

 鼻を舐める動きと下アゴで一回だけ噛む動きは、乳幼児、ヒト以外の類人猿、ラットにも共通して観られる動きで、ネコも例外ではないようです。

◆好きで食べているのか、しかたニャく?

 それでは次に不味い表情です。

 これは、口を大きく開けて舌を出す表情です。この表情は、ヒト以外の類人猿、ラット、ウサギ、ネズミ、ウマにも共通して観られる動きで、主に苦い味に対してなされる表情です。この表情は、私たちヒトが何かを吐き出すときの表情に似ていますね。「オエッ」という感じです。

 私たちの場合は、鼻にしわが寄る、いわゆる嫌悪の表情です。この鼻にしわを寄せる表情、ネコもしているのを観ますが、今回の研究では観察されなかったようです。

 ところでこの研究は様々な水溶数を用いて行われました。具体的には、これまでの研究からわかっているネコ全般が好きな味の水溶液、嫌いな味の水溶液、そして比較対象として水が用意され、さらにそれぞれの水溶液を混ぜ合わせ、濃度の異なる水溶液が用意されました。

 そしてそれぞれの水溶液をネコに舐めてもらい表情を観察したところ、先のような結果となりました。

 面白いことに、好きな味>好きな味+嫌いな味のミックス、好きな味>水、というように味の好みに合わせて美味しい表情の頻度やその表情が長く生じることもわかりました。これは単にそれぞれの水溶液の消費量だけを比べるよりもより多くのことを教えてくれます。

 表情理論の前提に、より多くの顔の動きがより強く生じているときその感情も強い、というものがあります。

 ネコの表情についてはまだまだわからないことが多いためこの前提が当てはまるかどうかわかりませんが、仮に当てはまるとするならば、ネコの味覚の選り好みについて微妙なレベルまで測定できるようになるかも知れません。

 キャットフードの開発の新たな手法として利用できるかも知れませんし、愛猫家としてネコの好みの食物をあげたい、でも健康にも良いものをあげたい、健康によくかつ美味しいと感じてくれるエサはなにかしら?と考えるときにもこうした知見は役に立つかも知れません。

 ネコを飼っておられる方は、これから愛猫にエサをあげられるとき、ぜひネコの表情を見てください。果たして、美味しく食べているのか、「このエサしかないから、しかたニャく~」食べているのか、要チェックです。

参考文献

Michaela Hanson a, Susan M. Jojola b, Nancy E. Rawson b, Melissa Crowe b, Matthias Laska, Facial expressions and other behavioral responses to pleasant and unpleasant tastes in cats (Felis silvestris catus), Applied Animal Behaviour Science,

Volume 181, August 2016, Pages 129-136

【清水建二】

株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役・防衛省講師。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマ(「科捜研の女 シーズン16」)の監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。

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最終更新:9/15(土) 15:40
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