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内陸部でも液状化!? 大地震&大雨で「多摩ニュータウン」が“泥没”の警告

9/19(水) 8:01配信

デイリー新潮

 東京郊外の内陸部に、札幌で起きた液状化の危険性を孕む一帯が存在するという。TBSドラマ「金曜日の妻たちへ」のロケ地として光が当たった、多摩ニュータウンである。

 北海道大地震によって札幌市清田区で引き起こされた液状化現象による被害は、惨憺たるものだった。

 液状化をシンプルに言うと、地震の揺れで地盤の砂粒が水分と混じり、全体が液体状になる現象。水を含みやすい砂や火山灰などの地盤で起きる――。

 清田区内の自宅周辺が陥没してしまった30代男性が、溜め息まじりに話す。

「家の前の通りは、毎年のようにコンクリートが歪む。もとは田んぼや沼だったところを埋め立てたから、地盤が緩いらしいんだよ。トラックが通ると地面が大きく揺れるし、冬場に除雪車が通れば、次の春には地面が凸凹になってる。市の土木課に直してもらっても、表面を塗り足すだけ。要は、化粧ばっかりでずっと誤魔化してきたんだよ」

 この男性とは少し離れた地区で被害に遭った60代男性の話が、妙に気にかかる。

「昔から札幌では、豊平区といえば高級でイメージのいい住宅街でした。その豊平区から1997年に分区した清田区も、閑静で綺麗な街です。一帯は30年から40年ほど前に宅地開発されたのですが、当時は“里塚ニュータウン”なんて呼ばれていたんですよ」

 ニュータウン!? あのニュータウンは大丈夫なのか。

“びゃく”

 日本地質汚染審査機構理事長で、茨城大学名誉教授の楡井久氏に聞いた。

「実は、東京の郊外にある多摩ニュータウンでも、清田区のようなことが起こりうるのです。液状化というと、一般的には湾岸エリアが危険視されていますが、条件次第では、内陸部であっても、液状化と、次の段階の流動化だって起こりえます」

 遡ること35年、流行語にもなった“金妻”のロケ地が泥に没するとは……。

「多摩ニュータウンは、丘陵地帯を切り崩し、埋め直して造成されました。地層は礫岩(れきがん)を多く含み、液状化に強いとされたのは事実。ですが、埋め戻しに使われたのは多摩ロームや立川ロームといった火山灰を含む土なのです。なので、上層に液状化に弱い人工地層を抱えている点は清田区と同じ。そこに今回のような地震と大雨が重なれば、同様の被害も考えられる。むしろ、その可能性は高いのではないかと思います」

 この説に、「突拍子もない話ではない」と、東京都の関係者が囁く。

「明確な地点は不明ながら、関東大震災では、多摩ニュータウンに近い“多摩市内の大栗川沿い”や“多摩市落合”が液状化したとの記録があります。また、明治以前の話ですが、界隈の方言で、山崩れを“びゃく”、洪水を“びゃくが飛んだ”と言っていました。“びゃく”が含まれた地名を示す記録も残されています」

 遠い昔の話ではあるが、捨て置けない。金曜日の妻たちが知らない史実である。

「週刊新潮」2018年9月20日号 掲載

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最終更新:9/19(水) 10:13
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