ここから本文です

安倍首相の怒りは外務省に プーチンから「前提条件なしで」平和条約提案 

9/20(木) 7:00配信

文春オンライン

「前提条件なしで年末までに平和条約を締結しよう」

 9月12日にウラジオストクで開かれた東方経済フォーラム。プーチン大統領からの突然の提案に、安倍晋三首相は微妙な笑みを浮かべた。

「“四島の帰属問題を確認した上での条約締結”が日本政府の公式見解。『前提条件なしで』との発言は、領土問題の棚上げと批判的に報じられています」(政治部デスク)

 だが、当の安倍首相は今回のプーチン提案について、こう漏らしているという。

「(10日の)テタテ(一対一の会談)で議論したことの延長だ。22回首脳会談を重ねてきたが、プーチンの主張は変わらない。日ソ共同宣言は義務だと言い続けている」

 1956年の日ソ共同宣言は「平和条約を締結して、善意の印として歯舞・色丹の二島を引き渡す」と明記している。一方、国後・択捉両島について、プーチン氏は「大戦の結果、ソ連領となった」と協議に応じていない。

「首相の本音は二島返還で十分というもの。“島民も四島返還は望んでいないし、全面積の7%とはいえ、二島返還で日本の領海は広がる。共同経済活動を進められれば、双方のメリットも大きい”と見ています」(官邸関係者)

 フォーラム後、2人は国際柔道大会に出席。この場でもテタテを行い、首相は「プーチン氏は機嫌が良かった」と振り返っていたという。

 一方、安倍首相が苛立ちを隠せないのが、外務省だ。首相側近はこう憤る。

「四島返還に拘るあまり、谷内正太郎国家安全保障局長らが首脳同士で合意した内容を、事務レベルで後退させるケースが相次ぎました。山口での首脳会談では秋葉剛男外務審議官(当時)を最後に同席させ、実際のやり取りを見せ付けたほどです」

 これまでもプーチン氏からは「事務方の報告を聞く限り、日本はこの問題を解決する気がないのではないか」との懸念が伝えられてきた。

「今回もモルグロフ外務次官は、カウンターパートの森健良外務審議官の対応に憤っていました。ただ、苦しいのは、省内に信頼できる人材がいないこと。最も信頼していた一人が、交渉実務を担当していた前ロシア課長ですが、セクハラ問題で9カ月の職務停止処分を受けています」(同前)

 両首脳は11月のASEANやAPECで再び会談に臨む方向だ。“年末”まで残り3カ月あまり。「政治とは結果」とは首相自身の言葉だ。

「週刊文春」編集部/週刊文春 2018年9月27日号

最終更新:9/20(木) 7:00
文春オンライン

記事提供社からのご案内(外部サイト)

あなたにおすすめの記事