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韓国、模倣蔓延から著作権保護強化へ──中国による違法コピー対策で

9/25(火) 18:16配信

ニューズウィーク日本版

──これまで多くの分野で韓国による日本ブランドの模倣が問題になってきたが…

韓国の裁判所が7月31日、韓国漫画キャラクター「ロボットテコンV」は日本の「マジンガーZ」と区別される独立的な著作物という判断を下して話題になった。

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テコンV関連の著作権を有するロボットテコンV社が、玩具類輸入業者を相手取り、同社が製造販売する製品がテコンVの著作権を侵害しているとして損害倍書を請求した裁判で、輸入業者側は、テコンVは日本のマジンガーZやグレートマジンガーを模倣したものであり著作権法で保護される創作物には該当しないと主張した。

裁判所は判決で、テコンVとマジンガーZの類似を認めつつも、テコンVは独自性をもつ著作物であるとして、ロボットテコンV社の主張を全面的に認める判決を言い渡したのだ。

■ 日本ブランドの模倣が指摘されてきた韓国企業

日本と韓国の知的財産トラブルは少なくない。2017年1月にはリーガルコーポレーションが韓国でリーガルを製造販売する金剛製靴を著作権侵害で訴えた。

日本製靴(現リーガルコーポレーション)は、1961年に米国企業とライセンス契約を締結し、1990年には米国など3カ国を除く地域で「リーガル」の商標権を取得した。1971年に一部商品の製造を金剛製靴に委託したが、金剛社は無断で商標を登録し、取引解消以後もリーガルブランドの製造販売を続けている。一年に渡る訴訟の末、裁判所は、金剛社が有する商標は合法であるとしてリーガル社の請求を棄却した。

また、日本の菓子やスナックは模倣がたびたび指摘されている。2014年に韓国ロッテが発売したプレミアペペロのパッケージが、日本の江崎グリコが発売する高級版ポッキーのバトンドールに酷似しているとして提訴し、裁判では江崎グリコが勝訴したが、ペペロはポッキーと酷似するロッテ製菓の代表商品だ。

ほかにも、農心の「セウカン」はカルビーの「かっぱえびせん」、オリオンの「チョコソンイ」は明治の「きのこの山」、南陽乳業の「17茶」とアサヒ飲料の「16茶」、ヘテ製菓の「カロリーバランス」も大塚製薬の「カロリーメイト」に似て話題になっているが、いずれも日本をベンチマーキングしたに過ぎないと模倣を否定している(中央日報)。

■ コピーが蔓延する韓国

さらにファッションでは、英バーバリーリミテッドが2013年と2014年に同社固有のチェック柄を盗用したとして韓国企業を提訴し、フランスのロンシャンもデザイン権侵害で韓国企業に勝訴したが、ファッションブランドが訴訟を提起する例は多くはない。

ファッションデザインのコピーや盗用は広範囲に渡る上、裁判が長期化すると判決が下る頃にはトレンドが変わっている。商品価値は低下し、勝訴しても実益が小さいのだ。訴訟は金銭的利益より、市場に警告を発するという意味合いが強い。

‘本物’を求める韓国人は大手百貨店やブランド直営店に出向き、市場では購入しない。市場で販売されているブランドは偽物と考える人が多く、店も外国人にのみ販売する。偽物として販売する事業者もいるが、精巧な偽物が多く、判断は難しい。

製菓やファッションだけではない。海賊版のDVDやゲームソフトが公然と売られ、映画や音楽を違法配信するサイトも複数ある。マイクロソフト社のWindowsや各種アプリケーションソフト、フォントなどの違法コピーは日常的に行われ、漫画配信サイトのウェブトゥーンは違法コピーが合法市場の30%に達すると業界は推定する。

さらに、偽薬は食品医薬品安全処が流通を水際で阻止したが、2012年には原子力発電所がコピー部品疑惑で稼働を停止したことがある。納入された部品の品質検査証に偽造が見つかったのだ。

■ 中国によるコピーで、韓国は違法コピー取り締まりを強化?

いっぽう韓国検察は2012年に1兆4282億ウォン(約1179億6900万円)の違法コピーを摘発している。韓国の最高裁に相当する大法院は、日本で制作されたキャラクターの著作権を韓国でも保護すべきという判決を下し、2015年12月にうさぎのキャラクター「ルシュクル」に似せた中国製ぬいぐるみを輸入販売した事業者の実刑が確定した。

また、2018年6月、文化体育観光部著作権特別司法警察が関税庁等と合同でピカチューなどのコピー品を輸入販売した業者を摘発し、3億ウォン(約2965万円)相当の違法コピー品を押収している。

韓国政府の著作権保護強化は、中国における韓国ブランドのコピー拡大と重なる。「サムスン(Samsung) Anycall」を模した「Samsong Amycall」や「Lock & Lock」 を模した「LQCK & LQCK」が登場し、オリオンの製菓「コレパプ」のコピー品「パプコレ」が流通した。ちなみに、コレパプは森永の「おっとっと」の模倣を疑われている製品でもある。日本や欧州のブランドをコピーしてきた韓国が、今度は中国にコピーされる立場になっている。そうした事態をふまえて、韓国政府も著作権保護の姿勢を強めているようだ。

佐々木和義

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