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全財産919円になるまで仮想通貨にハマった36歳契約社員のマイルド貧困

9/26(水) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 格差や貧困問題の是正が放置されているうちに、「アンダークラス(パート主婦を除く非正規労働者)」が900万人を突破、日本は「階級社会」への道を突き進んでいる。中でも「中間階級」が崩壊、新たな貧困層が生まれてきた。それは、どん底一歩手前の「マイルド貧困」とも呼べる新たな階級だ。そこでDOL特集「『マイルド貧困』の絶望」第8回は、そこそこの収入があったのに仮想通貨にのめり込み、全財産が919円しかなくなってしまった男性を追った。(ライター 根本直樹)

● 一般人が“億り人”になれる 最初で最後のチャンス

 田尻健斗(仮名・36歳)が初めて仮想通貨に手を出したのは、昨年8月のことだった。

 会社のデスクでスマホ画面を見つめていた彼は、突然、熱に浮かされたような顔でオフィスを飛び出すと、近所のコンビニに向かった。ATMを操作し、預金残高を確認する。120万円。全財産だった。全額を下ろした田尻は、スマホ画面を見ながら仮想通貨取引サービス会社「コインチェック」の口座に25万円を入金。しかし、これが悪夢の始まりだった。

 田尻は、当時の心境についてこう明かす。

 「仮想通貨リップルが25円のとき、1万リップル買ったのが最初でした。ここから『爆上げ間違いなし』と信じ込んでましたね。1年前の夏といったら、空前の仮想通貨ブームが巻き起こる前夜といった時期ですよ。その後、ビットコインが爆騰し、一般人たちがどっと仮想通貨市場になだれ込んできました。メディアも煽りまくっていたし、実際、ぼくの周りにも大儲けした人がけっこういたんです」

 そして田尻はこう続けた。

 「とにかく焦ってました。この波に乗り遅れたら、一生“下層暮し”に甘んじるしかない。これは契約社員の僕が、“億り人”になれるかもしれない最初で最後のチャンスだって。だから、元手には不安があったけど、手を出さないという選択肢はなかった。欲と焦りで、完全に正気を失っていましたね」

 田尻は大手出版社に勤務する契約編集者で、年俸は約500万円。副業も含めれば年収は今も700万円を超える。大手企業に勤める同年代の正社員と比べても悪くない収入だろう。品川区にある家賃15万円の1LDK住まいで、仮想通貨で失敗するまではかなりゆとりのある独身生活を送っていたという。

 「昔から贅沢なところがあって、金遣いは荒かったですね。年によっては年収が800万円を超えることもありましたが、貯金は常に100万円ちょっと。友人や知人に金を持ってる奴が多く、そいつらにかなり影響されていた気がします。今にして思えば、身の丈に合わない散財をずいぶんとしてきました。ギャンブルも好きで、一時は闇カジノやインカジ(インターネットカジノ)にどっぷりとハマっていたこともあります。だから、本当は投資になんて向いてない性格なんですよね」

● 最初の半年で資産が10倍に 仮想通貨の魔力に取りつかれる

 それでも、最初の半年ほどは「大勝ち」状態だったという。

 「最初に買ったリップルは一時上げたが、その後、急落してしまったので塩漬けにしておき、すぐに残りの95万円全額をビットコインに次ぐ時価総額を誇っていたイーサリアムにぶち込みました。他の怪しげだけど魅惑的で投機性の高そうなICO(簡単に言えば、仮想通貨で事業を立ち上げる際のお金を集める仕組みのこと)、例えばゲーズコイン、スイスボーグ、ゲームフリップといった仮想通貨は、イーサリアムのシステムを使って生まれた“孫コイン”のようなもの。イーサリアムがなければ買えないんですよ」

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