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脚光を浴びる新たな「がん免疫療法」:小野薬品のオプジーボ-京都大学・本庶佑研究室が開発をけん引

10/1(月) 19:30配信

nippon.com

世界の免疫学研究を長年リードし、抗がん剤「オプジーボ」の創薬をけん引した本庶佑(ほんじょ・たすく)京都大学特別教授が、2018年のノーベル医学生理学賞に選ばれました。本庶研究室が画期的な「がん免疫療法」を確立するまでの道のりをジャーナリスト・塚崎朝子氏がリポートしたnippon.comの記事(2015年4月)を再掲します。

本庶研究室は、がんを攻撃する免疫細胞の”ブレーキ役”となる分子「PD-1」を抑制する仕組みを解明

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日本生まれの新しい抗がん剤

人類に四千年戦争を仕掛け、“病の皇帝”とも称される「がん」。いくつも武器を備えても、我々はまだ完全に勝利を収めてはいない。2014年だけで約37万人もの日本人の命が、がんによって奪われている。

がん細胞は正常細胞から発した異形細胞であり、ヒトを生物として繁栄させた仕組みを利用していることが、治療の難しさの一端にある。がん細胞は、生体防御のために備わっている免疫系の攻撃をかわしながら徐々に成長して生命を脅かす一方、免疫細胞はがんとの長期の戦いにより疲弊していく。

2014年、新しいコンセプトの抗がん剤、小野薬品工業(本社・大阪市中央区)のニボルマブ(商品名オプジーボ点滴静注)が登場、画期的な「がん免疫療法」として大きな期待を集めている。この創薬をけん引したのは、世界の免疫学研究を長年リードしてきた京都大学の本庶佑氏だ。

偶然の発見、“免疫のブレーキ役”をがん治療に応用

最初の発見は偶然だった。1990年代初頭、本庶研究室の大学院生だった石田靖雅氏(現・奈良先端科学技術大学院大学准教授)が、免疫細胞があらかじめプログラムされた細胞死(アポトーシス)を起こす分子の探索を進めていた。92年に最初に見つかった分子がPD-1(Programmed cell death-1)と命名された。

マウスで働きの解明を進めていくうち、意外なことが分かった。PD-1は活性化した免疫細胞(T細胞やB細胞)に広く発現し、“免疫のブレーキ役”(免疫チェックポイント分子)として、免疫応答を抑制する機能を持つことが証明されたのである。本庶氏は99年に成果を報告するとともに、これが感染症やがんの治療に応用できるはずだと直感した。

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最終更新:10/2(火) 20:35
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