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懐疑的だった無名コーチの登用。それでもタイガー・ウッズは復活した

10/3(水) 8:20配信

webスポルティーバ

「タイガーは終わった」

 昨春、40歳を過ぎて4度目の腰の手術を行ない、5月末に処方された薬などの影響下で車を運転して逮捕されたタイガー・ウッズ。その際、朦朧とした彼の姿を見て、誰もが失望した。そして、ウッズの復活には悲観的な声が大勢を占めた。

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 しかし、今年1月にツアーに復帰したウッズは、3月のバルスパー選手権で2位タイ、続くアーノルド・パーマー招待でも5位タイと奮闘。その後、7月の全英オープンで優勝争いを演じて6位タイで終えると、8月の全米プロ選手権では2位に入って、着実に結果を残してきた。

 そうして、勝利への期待が高まるなか、フェデックスカップ・プレーオフ最終戦のツアー選手権で、見事な復活優勝を遂げた。

 頂点を極めた選手が、スキャンダルやケガなどによってどん底まで落ち、そこからまた這い上がる――ウッズの復活は、ゴルフ界だけでなく、世界のスポーツ史に残る”偉業”と言えるだろう。

 だが、ウッズのような華々しいカムバックは、稀(まれ)なこと。本来、かつて栄光を手にした天才が、その輝きを一度失ってしまうと、復活できずに終わることがほとんどだ。

 ゴルフ界で言えば、天才的なリカバリーショットで観客を魅了し、欧州ツアーの勝利数で歴代1位の記録を持つセベ・バレステロスや、ウッズと同世代で1998年にPGAツアーの賞金王となったデビッド・デュバルなどは、負傷などの影響もあって深刻なスランプに陥って、30代後半にはツアーの表舞台から姿を消した。

 では、なぜウッズは復活できたのか。

 さまざまな理由があると思うが、最大の要因は、コーチ選びに成功したことではないだろうか。

 その詳細を記す前に、”低迷したゴルファーがコーチに指導を依頼すること”について、少し触れておきたい。これには、ふた通りのパターンがある。

 ひとつは、”何かを変えたい”ときだ。

 自分でがむしゃらにがんばってみたが、それでもうまくいかず、「何かを変えなければいけない」と感じて、指導者に助けを求めるパターンである。

 ただしこの場合、自分はなぜ成績が低迷しているのか、その状態を打破するためには何をすべきなのか――そうした現状分析ができていないので、コーチの人選を適切に行なえていないことが多い。「実績があるコーチだから」とか、「知り合いで人柄がいいから」とか、技術的な部分でのマッチングを考えずに、依頼してしまいがちだからでもある。

 もうひとつのパターンは、”課題をクリアするために必要なものを取り入れるため”だ。

 この場合は、自らの現状分析を行なって、自分の進むべき道を理解し、そのためにコーチに習いたいことは何なのか――それが、明確であることが多い。そういう選手であれば、適切な指導者を選択できる。

 選手の成績の浮き沈みに関しては、一般的にコーチの指導力が問われることが多いが、実はそれ以上に、選手側の人材登用のスキルが、そのカギを握っているのだ。

 欧米には優れたコーチがたくさんおり、スイングだけでなく、ショートゲームやパッティングなど、分業制も進んでいる。また、コーチにもさまざまな種類があって、ひとつのメソッドを教えるタイプもいれば、選手に対して柔軟に対応し、さまざまなスイングモデルを提案するタイプもいる。

 つまり、選手が何をしたいのかによって、適切なコーチの人選は変わる。選手としては、たくさんの選択肢の中から、選手自身がコーチから何を教わる必要があるのか、それを明確にしてスタートを切らなければ、適切なコーチを選ぶことができないし、まして理想のゴールにはたどり着くことができない、ということだ。

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