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【System of Arthur Lydiard vol.5』 レースに向けた段階的トレーニング。 インターバル走を終盤に入れる理由

10/5(金) 0:51配信

ベースボール・マガジン社WEB

 多くの五輪メダリストを育てた伝説的なランニングコーチ、アーサー・リディアード。彼のトレーニング理論をリディアード・ファウンデーションの橋爪伸也氏にひも解く。

※『ランニングマガジン・クリール』2017年5月号から2018年4月号まで掲載された連載を再構成しました。

成果が出るプログラム

 有酸素能力の発達がすべての基礎となり、まずこの基礎づくりから始めるということは、当連載のこれまでの話でわかっていただけたと思います。ではなぜ、リディアードのトレーニング・プログラムの「ピラミッド」(左ページ参照)は、レース本番のピークに向けた順番や流れが決まっているのでしょうか。

 運動生理学などが世に知られていなかった時代。高校中退の中年ランナーにすぎなかったリディアードは、全く個人的な好奇心からトレーニング・アプローチの開拓作業を始めたのでした。すべてが試行錯誤で、うまくいって結果が出たものを組み合わせ、うまくいかなかった場合には次のシーズンを待ってやり直す――。こうした、気の遠くなるような作業を繰り返しました。

 結局、「リディアード法トレーニング」として確立するまでに、13年の年月がかかったそうです。それでも、完成したプログラムはことごとく理にかなったもので、何よりも「実践で成果が出る」トレーニングとして確立されたのです。

有酸素ランから始める理由

 リディアード法トレーニングは、最初にゆっくり長く走ること、つまり有酸素ランニングから始めます。前回も記しましたが、有酸素能力を高めるということは、ハーハーゼイゼイと呼吸が荒くなるまでの境界線(スピード)がどんどん引き上がる(速くなる)、ということを意味します。

 例を出しましょう。キロ7分でトレーニングをする人が、1km×4のインターバルは5分半で走れるとします。そして有酸素トレーニングを重ねていくことで、キロ6分で走れるようになりました。そうなると、1kmの反復インターバルを4分45秒で走れるようになります。しかもスタミナがついた分、4本で終わらずに5本まで繰り返せるようにもなることでしょう。

 つまり、有酸素の下地を築き上げることは、より速いスピード練習をより多くこなせるようになる、ということでもあるのです。また、有酸素能力は、その発達に時間がかかるものの、いったん築き上げたら維持が簡単という利点があるので、一番最初に鍛えるのです。

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