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プ女子&プロレスブームを支える “100年に一人の逸材”棚橋弘至

10/5(金) 12:00配信

CREA WEB

 今年8月に行われた「G1 CLIMAX 28」では、3年ぶり3度目のチャンピオンに輝いた、新日本プロレスのプロレスラー、棚橋弘至。20年に及ぶプロレス人生を振り返った前回に続く今回は、40代になって大きな挑戦となった初主演映画『パパはわるものチャンピオン』について語る。

俳優業にも“受け”があること

――俳優のお仕事はこれまでも何度かされていますが、今回『パパはわるものチャンピオン』で、映画初主演の話が来たときの率直な感想を教えてください。

 嬉しかったと同時に、とても驚きました。じつは僕の2人の子供が通っていた小学校の行事で、この映画の原作である2冊の絵本を読み聞かせていたんです。でも、僕がモデルで書かれた若手レスラーのドラゴンジョージじゃなくて、ゴキブリのマスクを被ったベテランレスラーの孝志役で依頼が来たことに、時の流れを感じましたね。もちろん、子供たちからは「なぜ、パパはドラゴンジョージじゃないの?」と言われました(笑)。

――今回、本格的にお芝居をされて、プロレスとの共通点はありましたか? 

 プロレスは相手の攻撃を、胸を張って受けるときもありますし、相手の攻撃で闘志を引き出されることもあるので、相手選手に試合を引っ張られることも多いんです。それを踏まえて、監督さんと演技レッスンをしているときに、「セリフは覚えても演技は固めないでください」と言われたんです。相手のセリフを受けた感情で、自分のセリフを言ってほしいということだったんですが、役者の仕事にも“受け”があることを知りました。監督さんに言わせると、奥さん役の木村佳乃さんと初めてリハーサルをさせてもらったときに、僕のお芝居もワンランクアップしたようです(笑)。

試合前に妻が言う「危ないことしないでね」の意味

――劇中では家族との関係も描かれていますが、実生活でのご家族とのエピソードがあれば教えてください。

 僕がいつも試合に行くとき、奥さんが「危ないことしないでね」と言うんですよ。この仕事をやっている手前、最初は「何を言っているんだ?」と思っていたんですが、咀嚼してみると、「ケガしないで、無事に帰ってきてね」ということなんですよね。危ない試合をしても、自分の力で家に戻ってくることは、僕としてはプロの美学だと思っていますが、「危ないことしないでね」という言葉を通じて、僕の仕事を理解してくれていたことに気づいたときは嬉しかったですね。

――本作をご覧になった感想を教えてください。

 僕の「悪者がいないと、エースが活躍できないだろ?」というセリフには胸打たれました。あと、プロレス女子を代表する役を仲里依紗さんが演じられて、ファンの気持ちを代弁してくれるシーンもあるんです。何かをきっかけにプロレス好きになった女性が、もう一段階プロレスに詳しくなって、さらに好きになれる映画になりました。いろんな方に観てほしかったので、日常の家族とのシーンとプロレスの試合シーンのバランスが難しいと思っていましたが、日常のシーンを満たすために試合シーンは必要だし、試合シーンを説明するために日常シーンは必要というように、双方で補完し合う、ベストバランスの映画になりました。

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最終更新:10/5(金) 17:40
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