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イチロー、来季現役復帰への自信。「それは言うまでもないです」

10/8(月) 17:01配信

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 9月30日、今季最終戦。本拠地シアトルでレンジャーズを下した瞬間、イチロー会長付き特別補佐は颯爽とベンチから飛び出した。

 クリーム色のホーム用ユニフォームに身を包んだ背番号51の姿は今季の現役を退いた5月3日となんら変わらない。勝利の儀式でナインを出迎える前に左足でプレート板を踏み左投手が投げる所作を真似した。すると今度は左手を高く上げ、主審にボール交換を要求するポーズをとった。

 その隣で苦笑しているのは元西武、今季34歳にして先発で9勝を挙げブレイクした左腕ウェイド・ルブランクだった。

 昨今のメジャーらしい裏話に少しお付き合いいただきたい。

 最近のイチローのお気に入りのひとつが、この“ルブランクいじり”だった。マリナーズとアストロズが首位攻防を繰り広げていた頃、ルブランクが敵地ミニッツメイド・パークで先発すると彼はしきりにボール交換を要求した。

44歳の今もお茶目さを忘れない。

 メジャーの使用球は滑りやすい革質を補うため、砂を塗り込んでから試合で使用される。だがアストロズの本拠地では、自軍の攻撃中には砂を塗り込んでいない真っ白なボールが使用されることが多い。ただでさえ滑りやすいのがメジャー公式球。それを自軍の攻撃中はより滑りやすい状態で、敵軍の投手にボールは渡される。

 数球団の投手から同じ話を聞いたので間違いないと思うが、昨季の世界一、今季も圧倒的な強さで地区優勝したアストロズの強力打線の裏側には、グリップ力を失った状態で投げている相手投手の苦労もあったということだ。

 ルブランクは繰り返し渡される真っ白な球の交換を要求し続けた。その姿を笑いながら、勝利の儀式の際に真似ているのがイチロー。お茶目な44歳らしい話である。

毎日クタクタで帰る目標を完遂。

 さて、会長付き特別補佐となって133試合。特殊なシーズンを終えたイチローは今季を振り返り、この言葉を残した。

 「出来ることは全部やったので、そこそこ疲れています。はい(笑)。ちょっと休みたいかな、うん」

 ヤンキースに在籍した'13年、150試合の出場に終わったイチローはシーズン最終戦後に「もう1周やりたいです。もう1ラウンド、162試合」と、悔しさを表した。そんな選手が今季は5月2日を最後にプレーが出来なくなった。

 出場わずか15試合、44打数9安打、打率.205。それでも「疲れた。休みたい」と言った。そこには一切の妥協がない、イチローらしい日課があった。

 「それは日々、毎日の目標がそこですから。帰るときにクタクタで帰るというのはその日の目標でしたから。そこだけを見れば、完遂したということになるでしょうね」

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最終更新:10/8(月) 17:01
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