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【福井国体】 男子100m・山縣のライバルだった男 和歌山の九鬼巧が福井で刻んだ復活への第一歩

10/9(火) 22:35配信

ベースボール・マガジン社WEB

10月5~9日、福井県で国体の陸上競技が開催された。注目を集めた男子100m。台風の影響で強い向かい風が吹いたが、山縣亮太が貫禄の勝利を収めた。その隣を走り抜けていた、同い年の男は、ひそかに、でも確かに、復活の兆しを見せた。

【写真】福井国体男子100mで活躍する九鬼巧

山縣の隣を走りたい

 福井国体2日目。台風25号の影響で、5日間通してよりによってこの日だけが強烈な向かい風になった。

 昨年、日本インカレで桐生祥秀(東洋大、現・日本生命)が男子100m日本人初の9秒台となる9秒98をマークし、「9.98スタジアム」と命名されたこの福井の競技場で、再び歴史が刻まれるのか――そんな思いで8,000人を超える観衆が集まった。

 注目を集めたのは山縣亮太(広島・セイコー)。日本最強のスプリンターで、今季はアジア大会100mで10秒00の銅メダルを獲得している男だ。さらに、アジア大会200m金メダルの小池祐貴(北海道・ANA)、日本インカレ100mで復活を遂げた永田駿斗(長崎・慶大4年)と合わせ、“慶大トリオ”にメディアは殺到した。

 予選4組。2レーンの山縣は向かい風2.1mのなかで10秒53。そのスピードに観衆はどよめいた。その3つ隣のレーンにいた、慣れ親しんだオレンジと緑のユニホームに身を包んだ男が、10秒68と食らい付いた。

 九鬼巧だ。「タイムは計算していなくて、まずは準決勝に進むことでした」。調子も良く、自己ベストやそれ以上の記録は出る準備はしてきたが、この条件では勝負に徹していたという。

 九鬼と山縣は同い年で、高校時代はライバルだった。2008年、高校1年の国体100mでは山縣がタイトルを取り、翌年には共に世界ユースに出場し、入賞を果たしている。だが、高校2、3年時のインターハイでは、和歌山北高だった九鬼が100mで2連覇。秋の国体では山縣が10秒32で優勝し、九鬼が10秒47で2位。勝ち、負けを常に分け合ってきた存在だ。

「大学以降はずっと山縣の方が活躍しているんで」(九鬼)

 山縣は慶大1年で10秒23のU20日本新(当時)を樹立。2年時にはロンドン五輪100mに出場し、準決勝に進出した。一方の九鬼も、早大に進学してロンドン五輪にはリレーメンバーとして選ばれ、走ることはできなかったが山縣と共に日本代表になった。3年時には10秒19までベストを更新したが、ケガもあってフォームを崩してしまう。大学卒業後はNTNに入社して競技を続けたが、10秒4前後にとどまっていた。山縣が個人、リレーで活躍するのを、かつてのライバルは遠くから見ているだけだった。

 準決勝も同じ組に入った。今度も3つ隣だった。山縣が10秒39(-1.6)、九鬼は10秒49で2着。明らかに調子が良さそうに見える。「スタートでどれだけしっかり出て、しっかりと抜け出していけるか」。そして、「山縣の隣で走りたいですね」と笑った。

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