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米中貿易戦争が「新冷戦」に発展すると見るべきこれだけの悪い兆し

10/9(火) 8:00配信

現代ビジネス

今叩かないと手遅れになる

 アメリカと中国が、いよいよ「新冷戦」の様相を呈してきた。いまは20世紀で言うなら、第2次世界大戦の終結直後のような状況かもしれない。

 周知のように、1945年5月にヨーロッパでドイツが破れ、8月にアジアで日本が敗れた。この時、戦勝国代表で世界のGDPの過半数を占めていたアメリカは、社会主義国のソ連を「次の敵国」に据えた。以後、1991年にソ連が崩壊するまで、半世紀近くも冷戦が続いた。20世紀後半には、経済的に日本やドイツがのしてきたけれども、アメリカは退けた。

 ところが、現在の中国の台頭は、軍事的には前世紀のソ連を凌ぎ、経済的には前世紀の日本とドイツを合わせたよりも強大になりつつあるのである。たしかにこのまま放置しておけば、21世紀の覇権は、アメリカから中国に移っていく可能性がある。すでにアジアの覇権が、日本から中国に移っていったように、だ(2010年に日中のGDPは逆転した)。

 前に詳細を出したが、今年7月に清華大学中国・世界経済研究センターが発表した米中貿易戦争に関するレポートでは、いまのアメリカを以下のように分析している。

 すなわち、アメリカの指導層には2通りのタイプがいる。第一に、トランプ大統領を代表者とする白人ピューリタンのトラディショナル(伝統派)。第二に、キッシンジャー元国務長官を代表者とするようなエスタブリッシュメント(エリート層)である。

 この両者は、普段は激しく対立しているが、中国叩きに関してのみ協調する。前者は、中国によって雇用が奪われ、製造業が持っていかれたと考える。一方後者は、中国にアメリカの覇権が奪われると考えるからだ。

 そのため今後、両者のどちらがホワイトハウスに入ったとしても、米中対立は長期化すると分析しているのである。

 思えば、アメリカに臆面もなく、中国が強国路線を宣言し始めたのは、昨年10月に開かれた第19回共産党大会からである。この時の報告で、習近平総書記は宣言した。

 「同志たちよ!  中国の特色ある社会主義の偉大な御旗を高く掲げ、新時代の中国の特色ある社会主義の偉大なる勝利を奪取し、中華民族の偉大なる復興という中国の夢を実現するため、たゆまず奮闘していくのだ。この5年で、『一帯一路』を建設し、南シナ海の島嶼建設も積極的に推進した。

 中国の夢、強軍の夢の実現を目指して、新形勢下の軍事戦略方針を制定し、国防と軍隊の現代化を全力で推進した。海上の権益維持を有効に遂行し、軍事闘争の準備は重大な進展を遂げた。人民の軍隊は、中国の特色ある強軍の路上に力強く踏み出したのだ」

 こうした習近平政権の強国路線、強軍路線は、いくら中国自身が否定しようとも、アメリカから見れば、新たな覇権取りに見えてくるのである。重ねて言うが、「20世紀のソ連+日本+ドイツ」以上に膨れ上がった中国が台頭してきているので、アメリカとしては、早くこれを叩かないと大変なことになるというわけだ。

 その口実に使われたのが、7月6日、8月23日、そして9月24日と、3度にわたって発動した対中追加関税措置だったと見るべきだろう。いわゆる米中貿易戦争である。

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最終更新:10/9(火) 8:00
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