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玉城デニー・沖縄県知事、基地問題について「日米両政府との対話」を求める。「対話をしないのは安倍政権にもマイナス」

10/9(火) 8:40配信

HARBOR BUSINESS Online

◆就任会見で「普天間飛行場の返還」「辺野古新基地建設の阻止」を強調した玉城新知事

 辺野古新基地が最大の争点の「沖縄県知事選」(9月30日投開票)で、8万票差をつけて圧勝した玉城デニー知事が10月4日、台風25号接近による暴風が吹き荒れ始める中で沖縄県庁に初登庁した。

⇒【画像】初登庁日の午後から臨んだ就任会見

 午前10時すぎに県庁前に到着し、入口で花束を受け取った玉城知事は、職員や支援者の拍手で出迎えられた。その後、県選管からの当選証書授与、副知事からの事務引継ぎ、台風襲来で設置された災害対策本部の会議出席と、矢継ぎ早に公務をこなした。

 そして14時前からは初の就任会見に臨み、「翁長雄志前知事の遺志を引継いで、辺野古新基地建設阻止を貫く」ことを強調したのだ。

「政府は今もなお『普天間(飛行場存続)か辺野古(新基地建設)か』と県民同士に負担をつけ替えて、新たな犠牲を押しつけようとしています。心ない分断を乗り越えるために、翁長前知事の遺志を引継ぎ、今こそ県民が心を一つにして、誇りのある豊かな沖縄を実現していく必要があります。

 私は政府に対し、対話によって解決策を導く民主主義の姿勢を求め、普天間飛行場の一日も早い閉鎖と返還、そして辺野古新基地建設の阻止に向けて、全身全霊で取り組んでまいりたいと考えております」(玉城知事)

◆「県の辺野古埋立承認撤回」の適法性を政府に訴えていく

 この決意表明を受けた後の質疑応答では、辺野古関連の質問が相次いだ。

――辺野古移設反対の民意がこの選挙で示されたと思いますか。

玉城知事:私は衆議院議員を務めていた時から辺野古新基地建設には反対という立場を明確にしており、4年前の翁長知事の選挙の際にも訴え、(2014年)12月の私の選挙の時にも「私も翁長知事もともにぶれない」と掲げて選挙を戦いました。

 ですから今回の争点も、まさに翁長知事が県民との公約を、命を削ってまで果そうとした辺野古新基地建設反対について、多くの県民の方が高く評価していただいた結果が、今回の勝因にもつながったというふうに思っております。

――玉城知事は選挙戦で「辺野古埋立承認の撤回を、全面的に支持する」と訴えていました。今後、国が執行停止などの対抗措置を取ってくる場合にどう対応するのか、具体的に辺野古新基地をどのように止めていくのでしょうか。

玉城知事:「県は公有水面埋立法の主旨にそって、適法に承認取り消しを行った」と私は考えております。国からどのような対抗措置がなされても、承認取り消しの理由や政府の当時の強行姿勢や、環境保全への配慮のなさ、辺野古新基地建設は基地負担軽減にはならないこと(を訴えたい)。

 そして、沖縄に200年耐用年数のある基地を作ることから考えても、将来の過重な基地負担を押しつける、いわゆる無責任さについては重い問題であることを訴え、県の主張が認められるように全力を尽くしてまいりたいと考えております。

(具体的手段については)県民が選挙で明確に示した辺野古新基地反対の民意を政府に訴えることはもちろん、県が法律にそって判断した「公有水面埋立承認撤回」に対しても当然、県の判断に従うことを求めてまいります。

 この沖縄県の民意を国際社会にも、あらゆるツールを通じてしっかりと訴えていって、共有できる価値観を広げていきたいとも思っています。

◆翁長前知事と同じ「いばらの道を行く」覚悟

――翁長前知事は当選証書を受け取った場で、辺野古移設阻止の厳しさを認識して「いばらの道を歩む」という言葉で覚悟を示されました。辺野古問題に関して、今の就任を受けて覚悟のようなものをどのように表現されるのでしょうか。

玉城氏:私は当然、この今までの経緯の状況から見て「辺野古新基地建設を断固阻止する」という翁長知事の姿勢を高く評価しております。私もぶれずに「辺野古新基地反対である」という考えで、有権者との皆様との公約を守るために取り組んできたものであります。

 ですから当然、これから辺野古新基地建設を断念するためのさまざまな取り組みを私も取っていく考えであります。そういう意味からすると、当然「いばらの道を行く」という翁長前知事の思いと私の思いが重なるところがあると思います。

 しかし私は、この辺野古新基地建設と普天間の移設については、対話の窓口をアメリカと日本政府に求めていくということも、新たに始めていく必要があるのではないかと思います。

 ですから、いばらの道ですが、そこにいばらがあれば、踏みしめて行く、乗り越えて行くという覚悟が必要ですし、そのいばらをかき分けて行って、その先に本当に安心安全な県民の求めている未来が必ず見えてくるということを信じて、私は突き進んで行きたいと思っています。

◆「対話の必要性」を日本政府にもアメリカにも求めていく

――第4次安倍改造内閣は、官房長官も防衛大臣も沖縄担当大臣も「従来の方針に変わりはない」と言っています。翁長さんが4か月も官房長官に会えなかった4年前の経験を踏まえて、いつ頃どういう形で政権中枢に会いたいと考えているのでしょうか。それから「対話の窓口を求めてアメリカとの交渉を進めていく」というと、例えば駐日アメリカ大使とか、そういう方と積極的に会う考えはあるのでしょうか。

玉城知事:前の翁長知事が数か月間、総理をはじめ官邸の高官と会えなかったことは、政府の取るべき姿勢ではなかった。このことに皆様から批判が上がっていたことはご承知のことと思います。

 私は速やかに面会を申し入れて、そこはまずは挨拶から申し上げさせていただき、そこから辺野古・普天間の問題を沖縄だけの問題にしないために、日米安全保障の根本的な問題について、そこから意見交換を始めてもいいのではないかと(考えています)。

 今回の民意が示された私の選挙結果、さらには条例制定6か月以内に施行される県民投票も踏まえて、「できれば、これ以上沖縄に基地は作らない」「普天間は1日も早い返還が道理である」というこの沖縄県民の思いを、片方の当事者であるアメリカに対しても、あらゆるチャンネルを通じて訴えていきたいと思います。

 そのためには当然、アメリカにも足を運びます。政府当局、議会、あるいは民主主義を共有する立場で行動するアメリカの住民や市民団体、平和を希求する退役軍人の皆様などなど、この私たちの行動に賛同してくれる方々と、この基地問題を通じて、私たちが訴えている民主主義の本質を含めた「対話の必要性」を(日本)政府にもアメリカにも求めて行きたいと考えています。

◆「対話をしないのは、安倍政権にもマイナス」

 初登庁日の会見は、災害対策本部の会議への出席によって当初の予定より大幅に短くなり、30分足らずで打ち切られた。しかし筆者は、当選翌日の10月1日、選挙事務所で玉城知事の話を聞くことができた。その内容も紹介したい。

――県知事選で辺野古新基地反対の民意が示されたことを受けて、安倍総理に訴えたいこと、伝えたいことは何ですか。

玉城知事:「ぜひ玉城デニー沖縄県政と協議、話し合いをする姿勢を持ってください」ということです。どういったことを話すのかについては個別具体的な話がありますが、基本的には「沖縄県と政府が話し合う場を作る」ということを示してくださいということです。

(国と沖縄県の法廷闘争について)いじめられている側が「いじめられた」と言っているのに、「それがいじめであるのかないのかは、訴えた方が証明すべき」というのは理不尽な話です。我々は事実を述べているのに放置されている。ということは、結果的に差別されているのではないか。

――辺野古新基地建設が土砂投入直前になっている状況に、どう抵抗していくのでしょうか。

玉城知事:これは個別具体的な戦術なので私が明らかにするわけにはいきませんが、あらゆる手段を講じて辺野古新基地を作らせないということです。理不尽なことに対しては、「それはおかしい」と思う人たちのうねりになっていく。

 日本政府、安倍政権はそういううねりをわざと起こさせたいのでしょうか。「そういうことが起きるのを予期して、(わざと)対話せずに法廷闘争に出るのか」という疑問の目が、世界から向けられると思います。それは安倍政権に対して非常に大きなマイナスで、窮地に追い込まれてしまうことになると思います。

「日本国民の要求に対して一顧だにしない」「仮想敵国を煽って、必要以上に防衛装備に予算をかけようとする」という安倍政権への批判がもっと強くなっていくでしょう。辺野古の件も法廷闘争だけの話にならないよう、我々もあらゆる手段を講じて抵抗していきます。その時に私が持っているアメリカ人と日本人のハーフというアイデンティティが多分、どこかで役に立つことが出てくるかも知れません。

◆翁長前知事も当選後、新基地建設よりも「対話」の重要性を説いていた

 安倍政権が、翁長県政時代と同じような「対話なき法廷闘争」を続けた場合には、「アメリカを含む国際社会に、沖縄の民意を伝えて徹底抗戦をする」と玉城知事は予告したといえる。ちなみに筆者は4年前、翁長前知事が当選した翌日にも同じ質問をしていた。

――安倍総理は県知事選の結果のいかんにかかわらず、新基地建設を強行しようとしています。安倍総理におっしゃりたいことはありますか。

翁長知事(当時):その時(基地建設を強行した時)には、安倍総理の「日本を取り戻す」というのがいかにゴマカシであるのか、ということがよく分かってくると思います。そして民主主義国家・自由主義国家として、アジアの同じ価値観を持った国同士で「手を結びましょうよ」という中で沖縄の基地問題を解決しなければ、日本を民主主義国家として誇ることはできない。だから日本が今一度原点に帰って“誇れる”ようにするには、沖縄の基地問題を解決しなければならない。そうしないと、日本という国は世界から変な目で見られるのではないかと思います。

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 安倍政権の強硬姿勢を世界中に訴えて国際的包囲網を作ろうとしている点でも、玉城知事は翁長前知事の遺志をしっかりと引継いでいるといえるのだ。

<取材・文・撮影/横田一>

ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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