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中国の「劇的ITイノベーション」が本当はとても怖い理由

10/9(火) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 中国ではITイノベーションが目覚ましい。実際、ほとんどの買い物がスマホで決済できてしまうなど、超便利なIT社会を実現している。優れたIT企業も続々と誕生し成長している。しかし、実はその正体は非常に怖いのだ。(中国在住作家 谷崎 光)

● 時価総額アジア・トップ級IT企業 テンセントの「怖さ」

 中国・深セン――。

 ここに、アリババを抜き抜き、トヨタ自動車を抜き、2017年度の時価総額アジアNo.1のIT企業、テンセントがある。

 その光り輝く新築の本社ビルの前には、四角い

 『党といっしょに創業(起業・イノベーション)』

 のモニュメントがある。

 この言葉の本当の怖さがわかる人は、かなりの中国通である。

 こんにちは。北京在住18年目の作家、谷崎光です。

 さて、今、日本では深センとか中国のイノベーションとか、キャラメルコーン……、じゃなくて、ユニコーン(評価額10億ドル以上の非上場ベンチャー企業)とか話題らしい。

 それもいいだろう。

 中国企業は、ニッポンのように、会社のひな壇の上の方に昭和の妖怪が密集していて、「下手なチャレンジなどしてオレの経歴に傷をつけるな!」と、若者をジャマしたりはしない。

 いや、中国はもっと怖い妖怪が並んでいて、「いろいろ開発してや~」とささやいているのだが、確かに若者は多く、かつ実力主義。トライ&エラーのお国柄。

 ここのところ、かなり減ったとはいえ、世界中から流れ込む資金。国の指示なら採算度外視。

 実際はファンドのお金を使い切るだけ、のスタートアップ企業も多いが、活気があるのは事実である。

 ただし、中国で18年暮らす私から見たその実態は、日本で言うような甘いものではない。

 中国の鉄則は、ただ一つ。

 すなわち、“すべては党が管理する”である。

 どんな企業のどんなイノベーションも、ある規模になれば、党の後押しなしには行われていないし、最後は全部、党のものになる。

 今の中国がイノベーションを推す理由は後述するが、もちろん経済発展も大きい。しかし並列する大きな理由は、軍事力の強化、人民の管理に有効、つまりは自分たちの独裁維持に役に立つからである。

 いいですか。中国ではドローンという空飛ぶ武器の開発も、スマホでピッという金融業務も、党の了承なしに、勝手にはできないのである。

● 中国のIT企業に わんさかいる党員

 テンセントは深センで生まれ育った、もっとも深センらしい会社といっていい。

 初期は、中国の元・国民的SNS「QQ」や、オンラインゲームで伸びた。

 今は、10億人が使うウィーチャット(中国版のLINEのようなSNS)と、それに付随したウィーチャット支払いで、中国の“スマホでピッ”市場をアリババと二分している。

 2018年4月2日の共産党員ネットの報道によれば、テンセントには約8000人の共産党員がいる。これは社員数の約23%にあたる。

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