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40過ぎた“ヒラ社員”の実像 平均年収、未婚率、モチベーションは?

10/9(火) 9:00配信

週刊SPA!

 7割は課長になれないと言われて久しい。実際、40歳以上の未役職者は60%を超え、多くの人が万年ヒラ社員の憂き目に遭わされている。そこで今回はOVER40のヒラ社員500人にアンケート。“死ぬまでヒラ”のリアルに迫った。

◆年収は部長の約半分で未婚4割。先行きが不安なヒラ社員の現実

 35歳で出世のコースが決まると言われるなか、40歳以上でヒラ社員とはどんな人物なのか。まず、各世代の役職率(表1)を見ると、役職についていない40~44歳が約67%、45~49歳が約59%、50~54歳は約56%と、どの世代でも半数以上が“役職がない”ヒラ社員である。また、役職別の平均年収(表2)では、40~44歳の部長クラスが約963万円に対し、役職のない同年齢のヒラ社員は約534万円と、その差は約430万円。50~54歳の部長クラスと役職なしでは約520万円と、格差は拡大。

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《表1 役職率》

年齢/非役職者/全労働者数/非役職者の割合

40~44歳 89万8900人 122万2520人  67.3%

45~49歳 75万9130人 121万0660人  59.3%

50~54歳 59万2450人 109万9860人  55.8%

《表2 役職別の平均年収》

部長級

40~44歳  962万9400円

45~49歳 1034万7500円

50~54歳 1127万0900円

課長級

40~44歳 831万5000円

45~49歳 894万6300円

50~54歳 923万5300円

係長級

40~44歳 629万1800円

45~49歳 678万7100円

50~54歳 718万4300円

職長級

40~44歳 581万8700円

45~49歳 629万9900円

50~54歳 698万7200円

非役職級

40~44歳 533万9700円

45~49歳 566万7500円

50~54歳 607万7100円

※「平成29年賃金構造基本統計調査」を基に算出した役職率(表1)と平均年収(表2)。平均年収はボーナスや各種手当の特別給与を含む。万年ヒラなら良くて600万円が天井。50代前半のヒラ率は50%前後。2人に1人は負け組

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 だが、理想が低いのか、「資格やスキルがなくても、いつか給料は上がる」(45歳・建築)と、現状を嘆く様子は見られない。こうしたヒラ社員の姿勢に警鐘を鳴らすのが、人事コンサルタントの西尾太氏だ。

「パフォーマンスと給与を比例させたいのが企業の本音。当然、生産性が低く、年功序列で給与だけが上がった中年ヒラ社員は頭痛の種。今後も業績が上がらないなら、リストラ予備軍の筆頭です」

 社内での風当たりは強いが、「ヒラであることをどう思うか?」(Q1)との問いに、約47%が「特に何とも」と思考は完全に停止。また、「むしろよかった」(21%)、「こんなもん」(15.6%)と現状を受け入れつつも「そう言い聞かせないと前を向けない」(47歳・物流)と強がっている人も少なくない。

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《Q1 ヒラ社員であることをどう思いますか?》

こんなはずじゃなかった 12.0%

こんなもんだろうな   15.6%

特に何とも思わない   47.2%

まだまだこれからだ   4.2%

(責任や負担が軽くて)むしろよかった 21.0%

…意外と「特に何とも思わない」や「むしろよかった」の数値が高いのは、もしかして強がり?

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◆博打な人生で先行き不安 40%近くが未婚で孤独に

 出世競争から脱落したヒラ社員の覇気は、ますます失われていく。

「仕事のモチベーション」(Q2)では、「生活の維持」(57.8%)、「貯蓄」(15.6%)と、お金関連が75%近くに。一方、「仕事を楽しむ」(13.8%)や「会社の成長」(2.2%)といった、仕事自体を生きがいにしている人はごくわずかだ。

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《Q2 仕事のモチベーションは何ですか?》(複数回答可)

生活の維持(給料)          289人

早く終わらせて帰宅する(遊びに行く) 122人

何もない               95人

貯蓄                 83人

仕事を楽しむ             69人

人脈づくり・出会い          64人

仕事関係のコミュニケーション     38人

仕事の効率化             31人

副業                 21人

会社の成長              11人

「生活の維持」がダントツで、次いで「早く終わらせて帰宅する」であることからも、仕事自体へのモチベーションは「ない」に等しい

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「食べていくために働いている」(54歳・損保)という人も多く、この現状を経営学者の山本寛氏はこう嘆く。

「会社のビジョンや理念に共感して働く人が多い欧米と比べ、日本では収入が働くモチベーションの上位になりがち。ゆえに給与が頭打ちになると、出世レースに縁のない中年ヒラ社員は人生の目標を失いやすい。働き方改革の影響で仕事が早く終わっても、用もないのに街で時間を潰す“フラリーマン”が増えているのも納得です」

 西尾氏も「産業競争の激化や働き方改革で、残業ゼロで今以上の生産性が求められるのに、現状維持で嫌々仕事に取り組む姿勢そのものが危険。“このまま定年退職を迎えられたら超ラッキー”。この考え方は博打に近い」と憂う。

 ファイナンシャルプランナーの藤川太氏も「現代では、正社員とはいえ“非正規より少し安心”な程度」と話す。

 収入が頭打ちで、リストラリスクも高い中年ヒラ社員。そんな彼らの「既婚率」(Q3)は約63%で、うち約48%に子供はいない(Q4)。「年収は350万円。生活はカツカツ。子供!? 結婚すら考えられない」(42歳・食品)

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《Q3 結婚していますか?》

している 62.8%

していない 37.2%

’15年国勢調査の40~54歳の未婚率は25.2%。37.2%というヒラ社員の未婚率は高めといえる

《Q4 子供はいますか?》

子供はいない 48.2%

1人 17.4%

2人 24.8%

3人 9.2%

なお既婚者で子供なしは18%。「収入を考慮して子供を持たない人もいるのでは」(牛窪氏)

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 こうした背景を、世代・トレンド評論家の牛窪恵氏はこのように分析する。

「バブル世代から団塊ジュニア世代は、“男たるもの妻子を養うもの”という結婚観がまだ残っている世代。年収や地位が安定せず、結婚に踏み切れなかった人もいるはず。また、大学の授業料など教育費の高騰もあり、子作りに慎重にならざるを得ない人も多いでしょう」

 死ぬまでヒラという現状を生き抜く中年ヒラ社員のリアルは厳しい……。

【西尾 太氏】

人事コンサルタント。フォー・ノーツ代表。「人事の学校」「人事プロデューサークラブ」主宰。著書に『人事の超プロが明かす評価基準』(三笠書房)など

【山本 寛氏】

経営学者。青山学院大学経営学部経営学科教授。専門はキャリアデザイン論。近著に『昇進の研究-キャリア・プラトー現象の観点から』(創成社)

【藤川 太氏】

ファイナンシャルプランナー。家計の見直し相談センター東京代表。1万5000件以上の相談実績。著書に『お金の不安に答える本(男子用)』(日本経済新聞出版社)など

【牛窪 恵氏】

世代・トレンド評論家。テレビ番組のコメンテーターとしても活躍。著書に『「男損」の時代「熟メン」が人生をソンしない18の知恵』(潮出版社)ほか多数

アンケート/エコンテ

― 死ぬまでヒラ社員の衝撃 ―

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最終更新:10/9(火) 9:00
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