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医師が恐れる膵臓がん 「0期発見」に反対する医療ムラの闇

10/10(水) 7:00配信

NEWS ポストセブン

 今年、国立がん研究センターは初めて、がんの3年生存率を公表。膵臓がんの15.1%は、突出して低い。有効な治療や、早期発見の方法がないとされて、公的ながん検診の対象になっていない。だが、一つの可能性が拓けてきた。

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 膵臓は、胃の裏側に位置する長さ約20センチの細長い臓器だ。早期発見が難しい理由を都立駒込病院・消化器内科部長の菊山正隆医師に聞いた。

「膵臓がんが発生するのは、膵臓の中を通る“膵管”の粘膜です。太さは0.5ミリから1ミリしかありません。現段階では、内視鏡で胃がんや大腸がんを早期発見するような方法がとれないのです」

 それゆえ、早期発見を諦める医師が多いのが現実だ。しかし、菊山医師たちのグループが状況を打破しようとしている。

 膵管の粘膜内にがんが留まっている段階を“0期”と呼ぶ。超早期と言える“0期”で摘出手術を行って、完治したケースも出てきた。それを可能にしたのが、エコー、MRI、そして最も重要なのが、超音波内視鏡だ。

「先端に超音波装置がついている特殊な内視鏡です。これを使用すれば、患者の負担を少なくしながら“0期”の膵臓がんを発見できる機会が得られます」

 超音波内視鏡は口から入れて、検査時間は約15分間。問題は、超音波内視鏡がまだ広く普及していないこと、操作には極めて高いスキルが必要なことだ。

“0期”の膵臓がんという概念に否定的な医師もいる。菊山医師と、尾道総合病院の花田敬士医師らは、早期診断研究会というグループを立ち上げて、超音波内視鏡検査による早期発見の取り組みを進めているが、参加施設は全国に15しかない。

 膵臓がん摘出手術の第一人者である、本田五郎医師(新東京病院・消化器外科)。6年前に、本田医師の手術を受けた女性(75)から話を聞くことができた。

「人間ドックのエコー検査で、気になるものが写っていました。私の弟が膵臓がんで亡くなっているので、心配した娘が本田先生のことを調べてくれたのです。膵臓と胆のうを摘出してもらいました。食事は以前と変わらず食べられますし、ゴルフもしていますよ」

 この女性の膵臓がんはわずか5ミリ程度だった。執刀した本田医師はこう話す。

「0期のがんを手術することに対して、過剰診断、過剰治療という批判もあります。しかし、膵臓がんは0期で摘出する以外に、根治が期待できない手強いがんです」

 膵臓がんのリスク要因は、前述の女性のように、「家族に膵臓がん患者」がいる人、そして「過度な飲酒の習慣」だ。

 膵臓がんのリスクが高い人は、まずエコー検査やMRIを受ける。何らかの異常があれば、超音波内視鏡検査を受け、手術につなげる。そうした「膵臓がん検診」があれば、救われる命は数多くあるはずだ。

●取材・文/岩澤倫彦(ジャーナリスト)

※週刊ポスト2018年10月12・19日号

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