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江戸の長屋で一番偉い猫のお話…大好評「鯖猫長屋ふしぎ草紙」シリーズの著者・田牧大和さんに聞く

2018/10/10(水) 12:10配信

PHP Online 衆知(歴史街道)

江戸の根津宮永町に、鯖縞模様の三毛猫が一番いばっている長屋があった。この長屋が舞台の「鯖猫(さばねこ)長屋ふしぎ草紙」シリーズが大好評。毎年3月と9月に新刊が刊行されている。
著者の田牧大和さんは、2007年に小説現代長編新人賞を受賞してデビュー。
これまで様々なタイプの時代小説を書いてきた田牧さんが、ミステリー、時代劇、猫と大好きな要素をすべて詰め込んだのが、このシリーズ。
時代小説ファンだけでなく、猫好きの心をもわしづかみにした田牧さんに、物語誕生秘話と、シリーズへの熱い思いを語っていただいた。

「俺様猫」が書きたい

――美猫(いろおとこ)サバと、飼い主である画描きの拾楽(しゅうらく)が主人公の「鯖猫長屋ふしぎ草紙」シリーズですが、サバがキュートでたまりません。この物語を思いついたきっかけは何だったのですか?

田牧 拙作「からくり」シリーズに、おっとりした白猫、大福(だいふく)を登場させたのですが、大福は沢山の人に愛していただきました。今度は対極にある猫を書いてみたいと思ったのが始まりです。大福は丸顔でどん臭くて、どこか犬のようなところのある猫だったので、サバは正真正銘、猫っぽい猫にしようと。俺様で、気まぐれで、我が物顔で(笑)。名前だけは、大福と揃えて、食べられる物にしてみました。

カバーの絵は丹地陽子さんが描いてくださっているのですが、これがかわいくて。次はどんなサバに逢えるのかしらと、毎回楽しみにしています。

――そのサバは、長屋で一番偉くて、住人たちを仕切っています。炊きたての白飯しか食べないわがままもの、という設定も面白いですね。

田牧 サバを「長屋で一番偉い猫」にしようということは、彼の性格が固まった時点で決めていました。彼が私に「当然自分が主役だろう」と訴えてきたので、しかたなく主役に(笑)。

元々「偉そう」だったサバが本当に「偉い」に変わったきっかけは、実際にあった事故、「永代橋崩落」を予見して、長屋の住人の命を救ったこと。以来、住人たちは「サバの言うことが一番」となったんです。彼は何でも見透かしていて、表立って活躍することもあれば、裏から糸を引いたり、飼い主を顎で使ったりすることもあります。全てはサバの気分次第ですね。

――サバの飼い主は、売れない画描きの拾楽です。一癖も二癖もある人物で、人には言えない過去も引きずっています。どうして相棒が、訳ありの画描きになったのですか?

田牧 「俺様猫」のサバと相性がいいのは、どんな人間なんだろうと考えたんです。わがままな猫に振り回されてばかりなのではなく、主人公自身にもサバに負けない魅力が欲しい。そこで、二つの顔を持つ男が生まれました。ふだんはぼんやりしているけれど実はできる奴、見た目は男前じゃないけれど、立ち居振る舞いはバリバリ男前。私、男前が好きなので、そこは外せませんでした(笑)。

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